神戸の小学校で起こった先輩教員らによる若手へのいじめ問題に、胸を痛めているビジネスマンも多いのではないだろうか。熱湯入りのやかんを顔に付けるなどの暴力行為から、女性教員に性的なメッセージを送るように強要するといった嫌がらせまで、悪質ないじめの数々はとても見過ごせるものではない。被害教員は長くいじめに耐えていたものの、心身に不調をきたして休職し、その家族の訴えからようやく明るみに出た今回の問題だが、職場という閉鎖された環境とあって、このような仕方なく"見過ごす""我慢する"といった静観のアクションに繋がってしまうのかもしれない。

  • 職場でいじめを受けたことがありますか? - 読者の声から"いじめの実情"に迫る

    読者の声から"いじめの実情"に迫る

今回、マイナビニュース会員の会社員300人に「職場でいじめを受けたことがあるか?」をアンケート。その結果から、職場いじめの実情に迫ってみたい。

職場でいじめを受けたことがある人は65%以上

「いじめを受けたことがありますか」という問いに対し、「ある」と回答した人数はなんと65.2%。半数以上もの人が何らかのいじめ行為を受けたと自覚しているのである。正直、何がいじめで何が指導なのか"いじめの定義"は難しいものの、職場の人間から嫌がらせととれる不快な行為を受けた人が半数以上もいるというのは、驚きの結果と言える。

また、「誰からいじめ行為を受けましたか?」という問いでは、77%が「上司」、37.5%が「同僚」、5.5%が「部下」という結果となった。「上司」が大多数というのは、やはり上下関係によっていじめが発生しやすいということがわかる。

  • 「誰からいじめ行為を受けましたか?」

いじめ行為は"言葉の暴力"が36%を占める

では、どのようないじめ行為があったのだろうか。最も多かったのはで「言葉の暴力」。「バカ・ボケ」といった直接的な暴言のほか、「あからさまな嫌味」などもここに含まれる。次いで多かったのは「無視」。「仕事のことを聞いても答えてくれない」「一切、口をきいてくれない」などの声があった。僅差で「執拗な叱責」もあがっており、これは上司から受けたという声が圧倒的。「2時間も説教された」「人前で執拗に毎日怒られる」といった意見が見られた。

  • 「職場でどのようないじめ行為にあったことがありますか?」

このほか、「陰口」も上位に入っており、「SNSに悪口を書かれた」というネット社会である現代ならではの回答が多かった。また、これだけハラスメントが問題視されている現代においても「身体的な暴力」「威嚇行為」など刑事事件にも繋がりそうないじめ行為を受けた人が少なからずいたのも印象的であった。

「平手打ち」「全員で無視」……悪質ないじめの数々

「具体的にどのようないじめ行為を受けたことがありますか?」の問いに自由回答してもらったところ、目を疑うようなひどい意見も多かった。印象的だったものを下記で紹介したい。

「先輩から『お前今までの人生のツケ払わされてんだよ』とピーナッツを投げつけられ、挙げ句は他人の目のない所で平手打ち。同僚からは『アホ!』とみんなの前で怒鳴られた」

「土日、夜中のメールで明日までの業務を強要されたり、その内容に意見を言うと頭ごなしに叱責された」

「ミスをしたら叱責、聞き返しても叱責、聞かずにやって、うまくいってても自分の思ったのと少しでも違うと叱責。『こんなこともできへんのか。ほんまアホやな』『使えへんな、辞めた方がええんちゃう』『はよ辞めろ』など」

「深夜残業中に営業部長から数十回も殴らえたうえに、翌日『アイツは風呂にも入らず徹夜でエロサイトを見ている』という噂を流され、女子社員から目の前で鼻をつままれたりデスクの上に消臭剤を並べられたりした」

「クビにしてやるとの罵りを顔を見るたびに言い続けられた。他にも、非人道的な悪口を会社中に言いふらされた」

「30kgもの重量物を何百個も手作業で運搬するよう強要されるなど、どう考えても物理的に無理な作業を指示された」

「上司の作った飲み会の出欠名簿に私の名前だけ外されていた」

「他の女子は全員誘い、自分だけ誘われなかった。後日これ見よがしに『楽しかったね』といった会話をする」

「毎日、お茶くみや掃除を押し付けられていたので渋々こなしていたら『女は笑顔で男に尽くせ!』と怒鳴られてから嫌がらせを受けるようになった」

「部署でランチに行くときに自分だけ誘われない。また、名刺入れを机のうえに置いておいたら無くなり、それが上司の鞄にあったのを発見してしまった」

「フォークリフトを乗ってて、わざとビックリさせるような威嚇行為」

「ご飯を無理やり食べさせられた。説教2時間」

「聞こえるように『やっぱり耐えられなーい!』って言われたり、寒い場所でヒーターを自分のところには向けてくれなかった。長いポニーテールを振って、私の顔に何度もぶつけてきた」

「全社員から、ある日突然無視されました」

職場いじめのきっかけは"嫉妬"が大多数

このような悪質ないじめ行為を受けるようになったきっかけは一体何だったのか。聞いてみると、もっとも多くみられたのが"嫉妬"絡みの回答。「早く出世したことへの妬み」「男性社員と仲良く話しているのを見られて」「評価が人よりよかったから」など、さまざまな嫉妬心がきっかけと感じている人が多かった。また、次いで多かったのは「わからない」「不明」といった答え。ほかにも「上司のきまぐれ」「仕事でミスをした」「遅刻してから」「上司や会社の意見に反対した」などの理由も多くみられた。

「わからない」を除くと、ほとんどの回答に共通するのは良くも悪くも"職場の中で目立った"ということが言える。個々の意見や発想が尊重されつつある現代社会の風潮に相反して、"他の人と違う行動をとった"、"違う考えをもっている"といったことがいじめのきっかけになりやすいようだ。

いじめを受けても"我慢した"が約半数

日々の暴言や嫌がらせなどのいじめ行為は、到底我慢ならないものばかりだが、「いじめ行為を受けてどのように対処しましたか?」という問いに対して、48%と圧倒的に多かったのが「我慢した」という答え。次いで多かったのは16%で「退職した」(「上司に相談した」も同率)であった。「本人にやめるよう訴えた」はわずか7.4%で、いじめ行為を受けた多くの人が我慢や退職を選択していることがわかる。

  • 「いじめ行為を受けてどのように対処しましたか?」

ちなみに、「我慢した」「退職した」「何もしなかった」と回答した方々にその理由を聞いてみると、「相談しても解決しないと思った」という回答が50%を占める結果となった。いじめ行為が、いかに解決しづらい問題であるかがわかる回答と言える。

  • いじめ行為に対して「我慢した」「退職した」「何もしなかった」理由について

「いじめをしたことがある」加害者の言い分とは?

ここで、逆に「職場でいじめ行為をしたことがありますか?」という質問も行ってみたところ、約28%の人が「ある」と回答。「どのようないじめ行為を行ったのか」「誰に対して行ったのか」という問いは、前述のいじめ被害者の回答と同様に「言葉の暴力」と「部下」が多かった。

  • 「職場でいじめ行為をしたことがありますか?」

気になるのは「なぜ、いじめ行為を行ったのか」という点。それに対しては、大きく3つの意見に分かれていた。1つは「むしゃくしゃしていたから」「機嫌が悪かったから」「八つ当たり」といったきわめて身勝手な理由。2つめは「仕事ができないないから」「鈍くさいから」などの仕事に関わる理由。3つめは意外にも「やられたからやり返しただけ」「同じような行為を受けたから」といった報復とも言える理由だった。

いじめ被害者に聞いたきっかけで最も多かったのは"嫉妬心"だったので、本来はいじめ加害者の回答も嫉妬に関係する理由が大多数を占めそうなものだが、なぜかほとんど同様の回答は見られなかった。これに関してはさまざまな憶測ができるが、アンケートで回答するのも後ろめたさを感じるほど、根深い理由こそが"嫉妬"なのかもしれない。

どうすれば、職場いじめをなくせるのか?

最後に「職場いじめをなくすためには、どうすればいいと思いますが?」という質問を行ってみたところ、大多数を占めたのが「会社でいじめ防止策に取り組むこと」。個人間の解決は難しいので「相談窓口を設ける」「社内で相談し合える環境をつくる」「いじめ加害者への厳しい罰則の制定」「いいコミュニケーションをとれる環境整備」といった意見が多かった。

また、残念ながら次いで多かったのは「なくならない」「無理だと思う」「そんな方法ない」といった諦めの意見。しかし、今回のアンケートで回答してくださったいじめ被害者の回答には、下記のような悲痛な声も多々見られた。

「ひどかったので思い出したくない」
「現在進行形でつらい」
「思い出すのが怖い」

職場いじめによる心の傷は、加害者には想像できないほど深いもの。誰もが健やかなワークライフを送るためには、今後もいじめがなくなるような取り組みを諦めることなく模索していくことが必要だろう。