名古屋鉄道が3300系に次ぐ新型通勤車両として投入する9500系。年内の運行開始をめざし、名古屋本線を中心に、犬山線や空港線・常滑線などで運行する予定だという。10月1日の内覧会にて、資料等をもとに9500系の概要説明が行われた。

  • 名鉄の新型通勤車両9500系。車体前面はスカーレットレッドとブラックのカラーリングに(写真:マイナビニュース)

    名鉄の新型通勤車両9500系。車体前面はスカーレットレッドとブラックのカラーリングに

9500系の製造は日本車両(日本車輌製造)が担当。内覧会で公開された編成は、豊橋方から9500形「9501」(Tc)・9550形「9551」(M)・9650形「9651」(T)・9600形「9601」(Mc)の4両編成となっている。車体寸法は全長18,385mm(先頭車)・18,230mm(中間車)、全幅2,744mm、全高4,016mm(Tc・T)・4,055mm(M・Mc)。自重は豊橋方から29.8トン、36.1トン、28.2トン、37.8トンとされた。

外観デザインはオールステンレス車両の3300系をベースとしつつ、車体前面・側面に名鉄カラーのスカーレットレッドを多用し、名鉄らしさを表現。ブラックとの塗り分けで精悍な顔つきに仕上げた。前照灯・尾灯にLEDを採用し、形状を変更して横8粒のLEDを斜めに3段配置している。車体前面・側面の種別・行先一体型表示器もLED方式に。車両形式に用いる文字の書体は名鉄の伝統を踏襲した。

  • 先頭部の乗務員扉付近もスカーレットレッドのデザインが施されている。前照灯・尾灯はLED化された

定員は先頭車が各125名(座席44名)、中間車が各137名(座席49名)。4両編成の合計は524名(座席186名)となる。車内はオールロングシートの座席配置で、「すべての方が利用しやすい空間」「スタイリッシュで洗練されたデザイン」をめざしたとのこと。幅広い層からの利用を考慮し、従来車両と比べて吊り手の高さを50mm、荷棚の高さを45mm下げたほか、各車両に優先席エリアを設け、座席・吊り手・床を一般席と異なる配色として識別しやすいように配慮している。車いす・ベビーカー利用者向けのフリースペースを各車両に設置し、手すりとヒーター、立席用の腰当てを取り付けた。

乗降扉は片側3扉、両開きの側引戸で幅1,300mm。扉開閉動作表示灯を取り付け、開閉のタイミングで赤色LEDが点灯する。扉上部には4カ国語表示の車内案内表示器(17インチLCD方式)と車内防犯カメラを1両3カ所ずつ、千鳥配置で設置。訪日外国人が増加している状況を踏まえ、名鉄の通勤車両では初めて「MEITETSU FREE Wi-Fi」を標準装備し、車内にステッカーも掲出した。その他、緊急時の避難誘導用として、非常はしごを編成に1台、座席下の収納箱に設置したという。運転室は操作性・視認性に配慮し、乗務員が扱いやすいレイアウトとしている。

  • 9500系の車内はオールロングシート。車端部にフリースペースが設置されている

  • 乗降扉の上部に車内案内表示器などを設置

  • 吊り手は三角型の形状を採用している

  • 運転室は乗務員が扱いやすいレイアウトに

9500系の最高運転速度は120km/h(将来性能は130km/h)、加速度は2.0km/h/s(将来性能は2.5km/h/s)、常用減速度は3.5km/h/s、非常減速度は4.0km/h/s。台車は日本製鉄の「FS571TC」(Tc・T)と「FS571MC」(M・Mc)で、固定軸距2,100mm、車輪径860mm。ボルスタ付き、モノリンク式空気ばね台車で走行安定性の向上を図るとしている。

■車両状態監視システム導入、ダウンタイム短縮へ

シングルアーム式のパンタグラフは豊橋方から2両目の9550形(M)、岐阜方先頭車の9600形(Mc)に設置。2両とも床下に主電動機・制御装置などを搭載した。

主電動機は出力170kWの全閉外扇誘導電動機(SEA-448形)で「1100V-115A-77Hz-2285rpm」、制御装置は「VVVFデュアルモード2レベルインバータ」「1C-2M×2群制御」「PGセンサレス制御方式」「電空演算回生ブレーキ(純電気ブレーキ)」とされ、3.5kVのSiC素子(ハイブリッド)を使用したデュアルモードVVVFインバータ制御装置の採用などにより、さらなる省エネ化を図ったという。補助電源装置は「CVCFインバータ」「AC220V-75kVA」、駆動装置は「歯車形継手式平行カルダン軸駆動」、歯車比は「96:17=5.65」とのこと。

空気圧縮装置は「RC400D+RC400D」「スクロール式(2重系)」「AD-7F 除湿装置付」とされ、豊橋方先頭車の9500形(Tc)と3両目の9650形(T)に搭載。オイルフリー・スクロール式の圧縮機を2台1組で搭載し、冗長性とメンテナンス性の向上を図った。蓄電池もこの2両に搭載され、「100V-30Ah」の「焼結式アルカリ電池」を採用している。

  • 台車は日本製鉄のボルスタ付空気バネ台車

  • 電動空気圧縮機を2台1組で搭載している

  • 車両形式の文字の書体は名鉄の伝統を踏襲

9500系では車両状態監視システムも導入。車両情報管理装置(TICS)と情報送受信装置、地上装置で構成され、車両情報管理装置が記録した車両の状態情報を運転指令と車両基地に常時送信することにより、車両故障発生時なども故障記録と車両の状態をリアルタイムに確認できる。より最適な処置判断が可能となるため、ダウンタイム(システム・サービス等が停止・中断している時間)が短縮されるという。将来的には、蓄積されるデータを活用した状態監視保全(CBM)にもつなげていくとしている。

また、車両状態監視システムの導入により、事故・異常気象などの発生時、運行情報を旅客指令から車内案内表示器へリアルタイムに配信することも可能となる。

その他、主要諸元表によれば、制動装置は「MBSA電気指令式、電空演算T車遅れ込め制御、回生・応荷重装置、耐雪・保安・2段増圧ブレーキ装置、ファインスキッド制御装置」、運転保安装置は「M式ATS(受信器 : ME形)、FM方式空間波列車無線(防護発報電源2重化対応)、戸閉保安装置」「最高速度保安機能(OSR)、対話式車内非常通報装置、運転台モニタ装置、EB装置」とのこと。先頭車に「空笛AW-5、電笛、列車在線検知車載機、UHF帯金属対応タグ(IDタグ)」も搭載しているという。

なお、9500系の運行区間に関して、名古屋本線を中心に犬山線や空港線・常滑線などワンマン線区以外を走る予定と説明があったが、主要諸元表では「ワンマン対応準備工事」とされていた。放送装置は「ワンマン対応運転台制御器(レベルメータ付)」「分散式、自動音量制御(ANVC)装置付」とのことだった。

  • 年内の運行開始をめざすという9500系。11月2日に舞木検査場でデビュー記念撮影会も開催予定

新型通勤車両9500系は今年度、4両編成を4編成、計16両を投入予定。「お客さまサービスのさらなる向上」「インバウンド対応の充実」「安全性の強化」「省エネルギー化を推進」をコンセプトに、新たな車両機器を搭載し、仕様を追加するなど、昨年度まで新造された3300系に改良を加えた車両となる。