接待の手土産として人気のある商品を集めた品評会が都内で開催された。これは手土産情報サイト『接待の手土産』を運営する、ぐるなびが2014年より開催しているもの。今回は全国から手土産53品目が集まり、業種・業態を超えた100社の現役秘書100名が参加した。味はもちろん、パッケージの見た目、重さなど、上司に推薦する上で重要視しているポイントを熱心にチェックする秘書たちの姿が、会場のあちらこちらで見られた。

  • ぐるなび主催の「接待の手土産セレクション2020」。現役秘書たちが接待の手土産を品評した

    ぐるなび主催の「接待の手土産セレクション2020」。現役秘書たちが接待の手土産を品評した

『接待の手土産』とは?

ぐるなびでは「接待の手土産セレクション2020」として、今年は同様の品評会を全8回開催していく。筆者が訪れたのは9月25日に開催された5回目。お歳暮、お年賀が視野に入る時期とあり、定番のクッキー、お菓子のほかにも、あわび、鯛などを使った華やかな商品が目立った。

  • 岩谷(和歌山県)の「紀州梅真鯛梅 六個入」(3,240円、以下すべて税込)

    岩谷(和歌山県)の「紀州梅真鯛梅 六個入」(3,240円、以下すべて税込)

  • 林久右衛門商店(福岡県)の「祝い最中お吸物 松竹梅のおめでたい」(2,160円)

    林久右衛門商店(福岡県)の「祝い最中お吸物 松竹梅のおめでたい」(2,160円)

参加した秘書の業種をひもとけば、製造、建設、金融、情報通信と幅広い。中には議員秘書という方もいた。業種や企業風土によって、求められる商品は変わる。例えば、伝統ある企業であれば格式あるブランドの商品が、IT関連なら流行の商品が好まれる傾向があるようだ。

  • 清月堂本店 銀座本店(東京都)の「あいさつ最中 12個入」(2,548円)

    清月堂本店 銀座本店(東京都)の「あいさつ最中 12個入」(2,548円)

  • 下鴨茶寮(京都府)の「料亭のちりめんナッツ」(1,620円)

    下鴨茶寮(京都府)の「料亭のちりめんナッツ」(1,620円)

接待の手土産セレクション2020で開催される全8回の品評会では、その都度、参加秘書によるアンケート投票が実施される。それを元に、年度末には年間ランキングが決定。特に優れた30品目には「特選」の称号が、また良商品には「入選」のお墨付きが与えられ、ぐるなびの年刊『接待の手土産』に掲載される。全国の企業で参考にされる『接待の手土産』の特選30品目を目指して、出展企業がしのぎを削るという構図だ。

  • ぐるなびの年刊『接待の手土産』(こちら秘書室 編集室による)。接待の手土産セレクション2020の結果が次号に反映され、2021年3月まで全国の企業の参考にされる

    ぐるなびの年刊『接待の手土産』(こちら秘書室 編集室による)。接待の手土産セレクション2020の結果が次号に反映され、2021年3月まで全国の企業の参考にされる

  • 会場には参加秘書専用の「試食&審査シート記入ゾーン」が設けられた

    会場には参加秘書専用の「試食&審査シート記入ゾーン」が設けられた

勉強の場として

何人かの秘書に話を聞いた。

参加するのは3回目という20代女性は、「お年賀として会社で配る商品を探していたところ、鯛を使ったお煎餅を見つけた。コンセプトがわかりやすいと渡しやすい。探していたものが見つかって良かった」と笑顔になった。

  • 赤坂松葉屋(東京都)の「赤坂料亭ごのみお詰合せ」(3,996円)

    赤坂松葉屋(東京都)の「赤坂料亭ごのみお詰合せ」(3,996円)

  • つきぢ 尾粂(東京都)の「特撰 のどぐろ開き」(6,000円)

    つきぢ 尾粂(東京都)の「特撰 のどぐろ開き」(6,000円)

手土産のレパートリーを増やしたくて訪れた30代の女性は、「会場には買ったことのある商品も展示されていました。ゆくゆくは上司に『この方ならこれが良い』と提案できるくらいに勉強したいんです。でも自費で試すには限界がある。品評会なら、見て、味わって、重さを肌で感じられるので助かります」と話す。

  • マルセンファーム(宮城県)の「至高のトマトジュース『スカーレットティアーズ』ギフト2本セット(ゴールドラベル・シルバーラベル)」(22,680円)

    マルセンファーム(宮城県)の「至高のトマトジュース『スカーレットティアーズ』ギフト2本セット(ゴールドラベル・シルバーラベル)」(22,680円)

  • 合同会社 菜夢来(石川県)の「KOHAKU(柿シャーベット)」(3,240円)

    合同会社 菜夢来(石川県)の「KOHAKU(柿シャーベット)」(3,240円)

  • Atelier Petit Bois(茨城県)の「ガトー ア・ラ・ブロッシュ」(2,700円)

    Atelier Petit Bois(茨城県)の「ガトー ア・ラ・ブロッシュ」(2,700円)

  • ナチュール青森(青森県)の「あおもり生プリン」(3,758円)

    ナチュール青森(青森県)の「あおもり生プリン」(3,758円)

出展者にも話を聞いた。

Takano Farm(山梨県)の「エアリーフルーツ 3種ギフトセット」(3,898円)は、完熟収穫にこだわる農園が作ったフリーズドライ食品。自社加工により、フルーツの旬の美味しさを凝縮しているという。実際に瓶の中の桃を1個いただいたが、まずは軽さに驚き、そして口に溶けてしまいそうな食感に驚いた。フルーツの旨味がまるごと閉じ込められている印象。

代表の髙野弘法氏は「普段なら接点のない企業の秘書さんとの出会いがあります。また、出展されている企業さんと横のつながりもあるんです。ギフトに特化した魅せ方など、参考にさせていただいています」と話していた。

  • Takano Farm(山梨県)の「エアリーフルーツ 3種ギフトセット」(3,898円)

    Takano Farm(山梨県)の「エアリーフルーツ 3種ギフトセット」(3,898円)

コロンバン原宿サロン(東京都)の「特選パウンドケーキ 國輝」(8,640円)は、95年前に創業者が考案したレシピをそのままに、材料のグレードを上げて再現したもの。18種類のフルーツ・リキュール・スパイスを丹念に混ぜて6か月間熟成させた特製の「漬け込みフルーツ」を使っている。濃厚で味わい深かった。

出展者は「昔ながらの会社です。ブランドを信頼して購入いただいている企業様もあり、ありがたい思いです」と語った。

  • コロンバン原宿サロン(東京都)の「特選パウンドケーキ 國輝」(8,640円)

    コロンバン原宿サロン(東京都)の「特選パウンドケーキ 國輝」(8,640円)

土産の文化は、気遣いの文化でもある。商品の重量が軽ければ、渡した相手の負担にならない。パッケージが渋めであれば、大人の男性が持ち帰ってもおかしくない。秘書は、そこまで考えて商品を選んでいた。言われてみれば、その通り。重役の男性に蛍光色を使った包み紙の手土産は渡しづらい。秘書たちに、この品評会が喜ばれている理由がよくわかった。