NHK連続テレビ小説『なつぞら』(毎週月~土曜8:00~)で、ついに大人になった柴田家の次女、明美が登場! この美少女は誰? と、“朝ドラ”ウォッチャーたちの注目を集めたが、子役の平尾菜々花からバトンを受け取ったのは、ドラマ初出演の新進女優、鳴海唯だった。
柴田家のマイペースな長女・夕見子(福地桃子)とは違い、小さいころから家事手伝いもちゃんとしつつ、歯に衣着せぬ姉の発言に絶妙なツッコミを入れてきた明美。北海道に結婚の許しをもらおうとしてやってきたなつ(広瀬すず)と坂場(中川大志)を、柴田家の家族はどう受け入れるのか? また、なつを実の姉のように慕ってきた明美の反応とは?
この手垢のついてないシンデレラガール、鳴海唯を直撃。その素顔は、デビュー仕立ての新人とは思えないほど、地に足をつけた頼もしい21歳の少女だった。また、実は広瀬すずの大ファンで、握手会にも参加していたそうで、まさに運命的なキャスティングとなったようだ。
――いきなり朝ドラでドラマデビューをされることになりましたが、オーディションは何度か受けていたのですか?
実は『なつぞら』が人生初めてのオーディションでしたが、それは明美とは違う別の役でした。そこでNHKはこういう雰囲気なんだ! と感じましたが、とにかく緊張しっぱなしで、もちろん落ちました。朝ドラ出演は、私が憧れていた仕事の1つでしたが、そこで憧れから目標に変わったんです。次に機会があったら、絶対に勝ち取りに行こうと思ったくらい悔しかったです。
――その後、今度は明美役のオーディションに臨まれたということですか?
オーディションに落ちたので、『なつぞら』は絶対に注目して観ようと思っていたら、昨年12月に明美役のオーディションがあると聞いて、「これは『なつぞら』に出演できるラストチャンスだ!」と思いました。
――2回目は、かなり前のめりにトライされたということですね。
はい。絶対に“二度目の正直”にしよう、絶対に取りにいこうと思いました。また、全力投球で臨んだので、これで落ちても悔いはない、と思えるくらい準備をしました。台本をいただいてから、毎日読み込み、後ろから読んでも全部言えるくらい、完璧に台詞を覚えていきました。
――ちなみに、本番に強いタイプですか?
はい。強いと思います。とはいえ、オーディションで手応えと言えるようなものはなかったのですが、自分のなかでは「やりきった!」という気持ちがありました。
――見事、明美役を射止められましたが、実際に決まった時、プレッシャーなどはなりましたか?
CMは何本かやらせていただきましたが、今回ドラマデビューということで、すごく不安でした。どういう反響がくるのかと緊張し、オンエアを観たくないなという気持ちもありましたが、私は『なつぞら』という作品が大好きなので、もちろん観たいとは思っています。
――初登場したのは、柴田家が集うシーンとなりましたが、現場はいかがでしたか?
「テレビで観てきた人しかいない!」と最初の撮影はすごく緊張しました。また、2日目は北海道メンバーが全員集結するようなシーンだったので、どうしようかと。でも、松嶋菜々子さん、藤木直人さんだと思うと緊張しちゃうので、自分のおかあさん、おとうさんだと思って演じようと思いました。
――実際に演じてみて、いかがでしたか?
柴田家のセットにみなさんが入ったら、そこから一気に柴田家の空気を一瞬で作ってくださったんです。だから、私もさっきまで緊張していたのはどこにいったんだろう? と思ったくらい入り込めました。そこはすんなりとお芝居に臨めたので、柴田家のみなさんには心から感謝したいです。
――明美役を演じるうえで意識したこととは?
いままで私が演技でやってきたアプローチとは違い、子役の方からの引き継ぎになるので、平尾さんが演じてらっしゃった明美ちゃんというみなさんのイメージを絶対に崩したくないと思いました。だからこれまでのオンエアを観て、平尾さんの言い回しの特徴をつかもうとしながら演じました。明美も成長していきますが、芯にある性格は変わらないようにしようと心がけました。
――実際に、柴田家のみなさんから、なにか言われたりしましたか?
うれしかったのは、撮影して3、4日目の時、松嶋さんから「本当に明美ちゃんだよね。言い回しが明美ちゃんそっくりだよ」と言ってもらえたことです。一番心配だったのは、平尾さんから明美役をちゃんと引き継げるかという点だったので、おかあさん役の松嶋さんにそう言われたことはすごくありがたくて、この先、自信をもって明美役を演じられるなと思いました。本当にありがたいお言葉をいただきました。
――主演の広瀬すずさんと共演した感想も聞かせてください。
実は、私は高校生の頃から広瀬すずさんの大ファンで、握手会とかにも行ったし、写真集も持っています。気持ち悪いと思われるかもしれないんですが(苦笑)。
――ええ! そうだったのですか? それは広瀬さんに伝えましたか?
最初は広瀬さんにそのことをお伝えする気は全くなかったのですが、先日、中打ちのパーティーで広瀬さんとお話をさせていただく機会があったので、そのことをお伝えしたら「え! 本当に!?」とすごくびっくりされていました。広瀬さんから握手会について「私、何を言ってました?」と聞かれたので、当時受験生だった私が「受験頑張ってください」とお願いしたとお伝えしたんです。実際に広瀬さんから「受験頑張ってください。応援してます」と言っていただけて、そのときはルンルンになり「よし、頑張ろう!」と思ったことを覚えています。
――では、今回『なつぞら』で、広瀬さんと夢の共演が果たせたわけですね。
私の中で広瀬さんはアイドルでした。当時、高校3年生で、まさかこんな形で広瀬さんと共演させていただくことになるなんて、夢にも思っていなかったのでびっくりしました。だから現場に入る前からド緊張していたんですが、広瀬さんを「なっちゃんだ!お姉ちゃんだ」と思おうと心に決めて入りました。じゃないと、まともに広瀬さんとしゃべれないから。でも、お芝居が始まると、本当に広瀬さんがなっちゃんとしていてくださったので、私も何の迷いもなくお芝居できました。ただ、共演シーンが終わったあと、我に返ると「私は本当に『なつぞら』で明美ちゃん役を演じているのかな?』と、毎日のようにびっくりしてしまいます。
――最後に、女優としての目標を聞かせてください。
私は小さいころから女優業に憧れていたし、今、この職業を一生涯やってきたいと思っています。やはり女優さんて、年を重ねていくとだんだん味が出てくると思うので、私もそういうふうになっていきたいです。また、どんな役を演じていても、鳴海唯だと思われないくらいその役にハマりたいし、その役として生きられたら幸せです。もちろん自分も役と一緒に成長していきたいですし、自分が演じるキャラクターを見て、誰かの心を動かせられたらいいなとも願っています。
鳴海唯(なるみ・ゆい)
1998年5月16日生まれ、兵庫県出身の女優。『P子の空』(18)で女優デビューし、CMに何本か出演。NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』でドラマ初出演。趣味はモノマネ、とんかつ屋さん巡り、特技はバレーボール。
場面写真=NHK提供