――本作のほか『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』や『ナラタージュ』などでも共演されていますが、役者としてお互いに感じる魅力は?

有村:現場で3年ぶりにご一緒させていただいて。彼自身の性格は全く変わらず、いつ会っても同じテンションで現場にいてくださるんですけど、彼が持っている人間性が、現場にものすごく良い影響を与えているんです。その人間力が、改めて素晴らしいなと思いました。私はその人間力がずっと欲しいと思っていて、どうやったらこんな風になれるのかなって。「自分で現場を盛り上げるぞ!引っ張っていくぞ!」じゃなくて、ただ人が好きだから、現場が好きだから、そうなっているというだけのことなんですよね。だから、いやらしくもないし。

坂口:ふふふ(笑)。

有村:媚びを売っているとか、そういうことでもないですし。そういうことが自然とできるからこそ、主演をされていたり、色々な現場で必要とされるんだろうなと思いました。役者さんとしては、自分が腑に落ちるまで、監督と話し合っている姿を、現場でたくさん見させていただきましたし、きっと一つのシーンで「清隆として何ができるか?」「 もっとプラスアルファでできることがないか?」 とかを、考えてなさそうなんですけど、でも多分色々と試したりとかして(笑)。そういう風にすり合わせながら、繊細に役を紡いでいく方なんだろうなと。『ナラタージュ』の現場を見ていても思っていましたね。

坂口:架純ちゃんは、やっぱりとっても不思議で、いてくれるだけでいいというか…「彼女のために頑張ろう!」と思わせてくれる人なんですよね。それって、作ろうと思ってできるものでもない。架純ちゃんは、僕の雰囲気が欲しいと言ってはいたんですけど、架純ちゃんは瞳子として立っていてくれるだけで「彼女のために盛り上げよう」じゃないですけど「力を尽くそう!」っていう風に、僕やスタッフさんたちにそう思わせてくれるような、不思議な魅力がある女優さんだなと思いますね。

今までやってきた作品に優劣をつけるわけでは全くないんですけど、10年後とかになって「あの時の作品って、もしかしたらその瞬間の僕にはとても必要な作品だったのかな?」 っていうときに、ご一緒しているなと思いますね。それこそ一番最初は『いつ恋』(『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』)で、同じシーンはほぼなかったんですけど、とても大切な作品なんです。今回の役とは全く関係性は違うんですけど、『ナラタージュ』も。自分の中で宝物にしている作品のタイミングで、一緒にお芝居をさせてもらっているなと感じますね。

――作中には幸せという言葉が印象的なシーンとともにに登場します。お二人が幸せを感じるのは、どんな瞬間ですか?

有村:今日(完成披露試写会)みたいな日は幸せを感じます。

坂口:幸せかあ…。

有村:作品が終わった瞬間とか。あとは、皆でおいしいものを食べている瞬間、疲労困憊になってクッタクタになって帰ってきた日のベッド(笑)。

坂口:あるね(笑)。でも、めちゃくちゃあると思いますよ。幸せな瞬間って。

有村:ね、あるね。

坂口:そういう細かいものを、ちゃんと幸せと思えるかだろうなと。本当に些細なことかもしれないけど、その瞬間・瞬間で、幸せだって思っている自分をちゃんと認識できるかというのは、本当に大事。豊かさじゃないですけど、それはとても思いますね。大きい・小さいは人によっていろいろあるだろうし、不幸というものも、僕が思っていることは、僕の中で悲しかったりって、絶対そうなんですよね。その人なりの、僕は僕なりの幸せの受け止め方を考えると、いつも感じているだろうなと思いますね。

有村架純

1993年2月13日生まれ。兵庫県出身。『ハガネの女』でドラマ初出演。『阪急電車 片道15分の奇跡』で映画初出演。NHK連続テレビ小説 『あまちゃん』出演を機に大ブレイク。その後、ドラマでは『失恋ショコラティエ』『ようこそ、わが家へ』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『中学聖日記』などに出演。映画では『ストロボ・エッジ』『映画 ビリギャル』『3月のライオン 前編/後編』『コーヒーが冷めないうちに』『かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-』『フォルトゥナの瞳』などに出演。

坂口健太郎

1991年7月11日生まれ。東京都出身。2010年に開催された第25回『MEN'S NON-NO モデルオーディション』に合格し、芸能活動を開始。『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』で俳優デビュー後、金曜ドラマ『コウノドリ』で連ドラ初出演を果たす。2017年には『MEN'S NON-NO』専属モデルを卒業。以降、ドラマでは『ごめん、愛してる』『シグナル 長期未解決事件捜査班』『イノセンス 冤罪弁護士』などに出演。映画では『今夜、ロマンス劇場で』『人魚の眠る家』『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』などに出演。