フジテレビの遠藤龍之介次期社長が7日、東京・台場の同局で会見を行い、就任への意気込みを語った。

フジテレビの遠藤龍之介次期社長

遠藤氏は1956年生まれ、東京都出身。81年に慶應義塾大学を卒業後、フジに入社し、広報局長、取締役、常務、専務を経て、6月26日に社長に就任予定となっている。

冒頭のあいさつで、遠藤氏は「社長としての私のミッションはシンプルです。『フジテレビの視聴率を回復させ、その結果として業績をさらに上げること』これに尽きると思います。幸いにして、宮内(正喜・現)社長の指揮のもと、この2年間、フジテレビは増益を続けることができましたし、視聴率も昨年後半くらいから上昇傾向にございます。この流れを断つことなく、さらに結果を出して、以前のように視聴者の皆さんに愛される局としてこの会社を成長させていきたいと考えております」と抱負。

その上で、「まずを行わなくてはならないのは、私を含めたこの会社で働いてくれる人々の気持ちの改革ではないかと思います。一般的に過去に成功した企業が陥りやすい疾病が2つあると思っております。それは、“慢心”と“保守性”です。ここにメスを入れていかなければ、会社は立ち行かない。そういう意味では、この2年間の弊社のコピー『変えることによって変わる』『変化は進化』というのは、まさに時を得たものだったと考えておりますし、社員の気持ちの中にも徐々にその概念は浸透しはじめていると考えます。今回は、その第2フェーズとして、何をどう変えていくのか、それをより具体的にしていくことが当面の私の任務だと思っています」と強調した。

具体的な課題を問われると、「テレビは今を映すメディアですけど、作り手の視点というのは、今より少し先の未来でなくてはならないと思っています。したがって、新しい挑戦を続けて、またそれを許容する社内の雰囲気をさらに発展させていくということではないかと思っています」と説明。

また、近年の視聴率低迷を踏まえ、「この数年だんだん時代の動きについていけなくなったということは否めないと思います。この数年間で、数々の長寿番組を打ち切らざるを得なかったのも、その1つの表れかなと思います。ただ昨年くらいから、その形も終焉を続けて、新しい流れを作るべくトライ&エラーを繰り返しながら挑戦が始まっているのではないかと思います」と、底を打った状況であることを語った。

作家の故・遠藤周作氏の長男としても知られる遠藤氏。「好きな本は?」と質問が飛ぶと「著者は忘れましたが、『沈黙』です。映画を見て、マーティン・スコセッシ(監督)が素晴らしいと思いました」と、父の代表作を挙げて記者陣を笑わせるなど、会見では随所で気さくな人柄を見せていた。

会見には、持ち株会社のフジ・メディア・ホールディングス次期社長に就任予定の金光修氏も出席。遠藤氏とは編成時代に同僚で、この数年も共に宮内社長のもとで仕事をしてきた間柄であることを踏まえ、「今後もタッグを組んで、フジ・メディア・ホールディングスおよびフジテレビの成長と発展のために全力を尽くしてまいる所存でございます」と意気込みを述べた。

  • 遠藤龍之介氏(左)と金光修氏