「使途不明金」とは、読んで字のごとく、何に使ったのかよくわからない出費のこと。会社の経理で使われる言葉で、使途不明金が発生する原因には、領収書の紛失や帳簿の記入漏れなどあります。

この使途不明金は家計でも発生します。そして、使途不明金が多い家計は、一般的にお金が貯まらないことが多いもの。

今回は、家計において使途不明金が発生する原因と対策について考えます。

家計簿をつけて、財布から出したお金の記録を残す

「お金を貯める!」と真剣に考えたとき、まず、最初にすべきことは家計簿をつけること。貯め下手さんは「家計簿」と聞いただけで、「無理!」と思いがちですが、そんなややこしい家計簿をつける必要はありません。

何にいくら使ったかがわかればOKで、肝心なことは、たとえば「月曜日に財布に1万円を入れたけど、いつの間にかなくなっていた……」というのをなくすこと。財布から出したお金の記録を残すことが、家計簿をつける目的です。

家計簿の収支が合わない原因は使途不明金にあり!?

財布から出したお金の記録を残すことの重要性は、自分のお金の使い方を見直すことにあります。家計簿はつけっぱなしではなく、見直しが大事。見直すことで無駄遣いを発見することができ、無駄な出費を減らすことができるからです。

たとえば、月曜日に財布に1万円を入れて、水曜日に財布の中に1000円残っていたとします。でも、家計簿上では3000円残っている計算になる。この場合、2000円が使途不明金というわけです。

使途不明金は無駄遣いの“隠れみの”になりがち

2000円の使途不明金が発生した場合、「2000円の買い物をして、何を買ったか忘れてしまった」というケースはまれです。大半の場合は100円、200円の小さな出費が積もり積もった「チリ積も」で、2000円になるケースです。

100円、200円の小さな出費を侮るのはNG。小さな出費に無頓着な人は、大きなお金を貯めることはできません。なんとなく財布から出してしまう小さな出費が無駄遣いの元凶だからです。

コンビニによく行く人は使途不明金が多い傾向が

コンビニをよく利用する人は、ちょこちょこ出費しがちです。1回の買い物は500円以内でも、回数が重なると大きな出費になります。いわゆる“ラテマネ―”を使いがちな人は、使途不明金が発生しやすい傾向にあります。

使途不明金の防止対策はレシートをもらうこと

使途不明金を防ぐのは、いたって簡単。買い物をしたらレシートをもらうことが、一番確実で手っ取り早い方法です。

スーパーはもちろんのこと、大半のお店はレジでレシートを発行しているはず。必ず受け取りましょう。コンビニやキオスクなどの場合は、こちらが何も言わないとまれにレシートをもらえないこともありますが、そういう場合は「レシートをください」のひと言を。

またレシートが出ない自動販売機はできるだけ使用しないこと。自販機で飲み物を買うことが習慣になっている人は、使途不明金が多くなりがちです。

家計簿をつけてこそ使途不明金が発見できる

そもそも家計簿をつけていなければ、使途不明金があることすらわかりません。何にいくら使っているか把握していない、あればあるだけ使ってしまう“ザル家計”だからです。

1日の終わりに、レシートを見ながら、財布から出したお金の記録をつけましょう。家計簿上の収支と財布の残金が、だいたい合っているかを確認します。端数まで合わせる必要はありません。100円単位で合えばOKです。

これを習慣づけることによって、自分のお金の使い方が見えてきます。無駄遣いしがちなケースがわかれば、意識的に無駄遣いを回避することも可能です。

やるべきことは①買い物をしたら必ずレシートをもらう、②買ったものの記録をつける、③家計簿の収支と財布の残金をザックリ合わせる……の3つです。これだけで使途不明金=無駄遣いをなくす効果があります。本気でお金を貯めようと考えたら、ぜひ試してみてください。

村越克子

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。