長年、家計のやりくりの取材をしてきて、しみじみと思うことは、お金を貯めている人、お金が貯められない人、それぞれに共通点があることです。今回は、お金を貯めている人の共通点……いわば「貯蓄体質」になるために、やってはいけないことをご紹介します。

「貯蓄体質」の人は気がつけばお金が貯まっている

お金を貯めている人……と聞いて、あなたが「いつもお金のことばかりを考えている人」「1円でも安いものを買おうとする人」「ケチケチ節約している人」を思い浮かべたら、それは間違いです。貯めている人は、ケチでもなければ、いつもお金のことを考えているわけでもありません。無理せず自然体で生活していると、いつの間にかお金が貯まっている人たちです。

「そんなバカな!?」と思うかもしれませんが、実際にお会いするとそういう人たちばかりです。自然と貯まる「貯蓄体質」になっているのでしょう。反対に、貯まらない人とは、気がつけばお金が漏れている「ムダ使い体質」の人たち。

「貯蓄体質」の人には、「こんなことはしないように」と日ごろから心がけていることがあります。

自分に「プチごほうび」をあげない

頑張った自分に「プチごほうび」をあげる……というのが一時期、流行ったことがありました。1カ月やりくりして赤字にならなかった、お弁当を作った、疲れていたけど外食しないで自炊した……などというときに、コンビニスーツやカフェのラテなど、ささやかな贅沢を自分へのごほうびとして買うことです。

「それくらいの出費は大目にみようね」と思うかもしれませんが、1回ずつの金額は小さくても「プチも積もれば」で、回数が重なると金額もかさみます。「プチごほうび」とは、言い換えると「小さなムダ使い」のこと。「貯蓄体質」の人は、ムダ使いには敏感な体質なので「プチごほうび」はしません。

「貯蓄体質」のある人は、こういいました。「プチのごほうびは満足度もプチで、持続しません。だから、ごほうびがちょこちょこ欲しくなるんです。自分へのごほうびはプチではなく、しっかりあげるようにしています」

「余ったら貯金」をしない

「貯蓄体質」の人で「先に使って余ったら貯金する」という人は、まずいません。「先に貯金して、残った分で生活する」のが鉄板ルールです。いわゆる「先取り貯蓄」というもの。私が取材した“貯めている人”はほぼ100%、先取り貯金していました。

先に貯金分を取り除き、その分は最初からなかったものとみなして、残ったお金でやりくりする方がストレスもありません。手元のお金を全部使っても、貯金できているからです。反対に、余ったら貯金するパターンでは「お金を全部使ったら、貯金できない」と思うことがストレスになります。

「聖域」をつくらない

ネイルサロン代、英会話代、サプリメント代……など、ここは削れないという「聖域」をつくらないことも、「貯蓄体質」の人の共通点です。家計を見直して、削れる支出を洗い出す努力を怠りません。

たとえば、自分磨きのために英会話教室に通っている場合、個人レッスンは高額なので、インターネットネットのスクールに替えるなど。定期購入しているサプリメントも、本当に必要か? ほかにもっと安いものはないかを点検します。

「今だけ」を生きない

お金が貯まらない人でも、お金を貯めたいとは思っているものです。ただ貯めるための具体的な行動をしないので、貯めることができません。貯蓄がないので、先々のことを考えると不安にはなるのですが、そのときに魔法の言葉が「ま、いいか。なんとかなる」です。この言葉をとなえて、現実に直面することから逃げてしまいます。

一方、お金を貯めている人は、将来のことを見ています。将来、自分はこうなりたいというイメージから逆算して、今何をすべきか? を考えます。お金を貯めることも、今すべきことのひとつなのです。

「貯蓄体質」の人に共通している「しないこと」、いかがでしたでしょうか?

お金を貯めるために「すること」も大事ですが、「しないこと」も実は同じくらい大切。貯まる人の思考パターンをぜひ参考にしてみてください。

村越克子

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。