東武鉄道は26日、今年度の鉄道事業設備投資計画を発表した。2019年度は総額397億円の設備投資を行い、「私鉄NO.1の通勤環境」「安全・安心で暮らしやすい沿線」「インバウンドのお客さまにも利用しやすい鉄道」「より楽しめる鉄道」をめざす。

  • 東武鉄道が新造する70090型の外観イメージ

同社は2020年度、通勤・通学および外出時の快適性・利便性向上を目的に、東京メトロ日比谷線の直通列車へ新たに有料着席サービスを導入予定。東武鉄道・東京メトロの相互直通運転における有料着席サービス列車は初だという。車両は東武鉄道の70000系をベースに新造するロング・クロスシート転換車両70090型を使用。鉄道事業設備投資計画において、今年度は70090型を4編成新造することが発表された。

より快適な移動環境を提供するため、車両の新造・改造も積極的に推進。今年度は70090型に加え、日比谷線直通車両70000系も2編成新造する。これまで日比谷線直通車両として活躍してきた20000系を4両編成ワンマン化対応改造し、昨年から宇都宮線を中心に活躍している20400型は今年度、5編成を導入する予定となっている。

  • 70090型の内装イメージ(クロスシート時)

  • 日比谷線直通車両20000系を改造した20400型は現在、おもに宇都宮線で活躍中。片側5ドアから片側3ドアに改造された車両も

東京メトロ半蔵門線・日比谷線・有楽町線・副都心線への直通車両は2020年度までに、無料Wi-Fiサービスを全車両に拡大する予定。今年度は24編成で整備する。直通車両を中心に車内防犯カメラの設置も推進し、今年度は8編成で設置予定となっている。

東武アーバンパークライン(野田線)は今年度中に六実~逆井間(約3.9km)の複線化が完成し、2020年春から船橋~柏~運河間で新たに急行運転を開始する予定。すでに春日部~大宮間でも急行運転を実施しており、速達性向上を目的とした急行運転区間が拡大されることで、より便利な鉄道になるという。

駅舎リニューアルは今年度、獨協大学前駅・中板橋駅・玉淀駅で実施。北千住駅・和光市駅では商業施設と合わせたリニューアルが行われる。北越谷駅・花崎駅・南宇都宮駅・新高徳駅、池袋駅(南改札)・下板橋駅・川越駅・川越市駅・鶴ケ島駅・小川町駅でトイレのリニューアルを進め、五反野駅・草加駅の上下線ホームで冷暖房付きホーム待合室を新設。ときわ台駅・一本松駅でエレベーターを設置する。

ホームドアは今年度、押上駅と池袋駅4番ホーム、朝霞駅1・2番ホーム、志木駅3・4番ホームで完成予定。2020年度末までに1日の利用者数10万人以上の5駅と東京オリンピック・パラリンピック会場最寄りの2駅、計7駅で設置が完了し、2021年度以降はとくに利用者数の多い区間の駅や利用者数5万人以上の駅など29駅でホームドアを整備する。竹ノ塚駅付近・とうきょうスカイツリー駅付近・清水公園~梅郷間の高架化も推進。踏切の安全性向上、自然災害への備えの強化といった取組みも進めていく。

■蒸気機関車2機体制へ、ディーゼル機関車購入も

運行情報を迅速かつ詳細に提供する「東武線アプリ」は今年度、「列車走行位置」機能に東武アーバンパークライン(野田線)を追加。ウェブサイトの運行情報をはじめ、駅の案内表示器や自動券売機においても多言語化を推進する。

  • 復元作業の進む蒸気機関車C11形(2019年4月撮影)

日光・鬼怒川エリアの沿線活性化を推進するための観光コンテンツのひとつである蒸気機関車(SL)に関して、今年度は2機目となる蒸気機関車の導入に向け、C11形の復元作業を進めていく。今後のSL2機体制に向けた準備として、補機となるディーゼル機関車(DL)の購入、下今市SL機関庫の拡張なども予定されている

また、「SL大樹」「DL大樹」の客車として、JR北海道で活躍した14系客車「ドリームカー」1両(オハ14-505)を新たに導入。客車3両の中間に「ドリームカー」を連結し、今年4月から運行開始した。今後は「SL大樹」「DL大樹」の年間運転日のうち、約40日を「ドリームカー」連結の客車3両で運転する計画としている。

  • 「SL大樹」「DL大樹」の客車として新たに導入された14系客車「ドリームカー」

  • 「ドリームカー」の車内

「SL大樹」「DL大樹」が走る鬼怒川線の大谷向~鬼怒川温泉間において、ファミリーで楽しめる「テーマパーク」とするための「昭和レトロ化工事」も推進される。今年度は新高徳駅でリニューアル工事が行われるとのこと。