JR北海道が2019年度の事業計画を発表し、在来線用車両の新製や北海道新幹線の高速化に向けた環境整備に取り組む方針を明らかにした。快速「エアポート」の毎時5本化や運賃改定など、鉄道運輸収入の拡大に向けた取組みも推進する。

  • JR北海道の電気式気動車H100形「DECMO」(写真は量産先行車。2018年4月の報道公開にて撮影)

同社の新型車両H100形「DECMO」は、今年度に量産車が完成する見込み。JR東日本のGV-E400系に基本仕様を合わせた電気式気動車で、老朽化したキハ40形気動車の置換えとしてJR北海道管内の路線に投入される。特急形気動車キハ261系の新製投入、731系などの重要機器取替え工事も推進し、車両の安全性を高める。

北海道新幹線では、今年3月のダイヤ改正から青函トンネル区間で160km/h走行が始まったことを受け、施設の状態確認を着実に実施。貨物列車との共用走行区間において、老朽化が進行する地上設備の更新に必要な時間に対し、作業時間が著しく不足している現状があることから、JR貨物などと協議を実施し、必要な保守間合いを確保するよう努める。

青函トンネル区間の速度向上に向けては、鉄道・運輸機構が実施する高速走行試験に最大限協力するとともに、200km/h以上の走行に必要な軌道整備、運行管理システムの改修、貨物列車の誤進入防止に関するシステムの開発などに取り組むとした。

北海道新幹線の利用促進については、各種キャンペーンや割引などの販売促進策を展開するほか、区間別・商品別に最適な座席数を配分するイールドマネジメントを徹底し、収入の最大化を図る。札幌延伸に向けた函館本線長万部駅・倶知安駅における支障移転工事や札幌駅ホームなどの設計も推進する。

  • 快速「エアポート」は毎時5本化で輸送力増強を図る

鉄道運輸収入の拡大に向けた取組みとしては、快速「エアポート」の毎時5本化に加え、航空会社とタイアップした商品や、「えきねっと」で早期申込み割引を設定するなどして利用者の拡大に努める。在来線特急列車においてもイールドマネジメントを行い、収益の拡大を図る。さらに、2020年4月に予定される民族共生象徴空間「ウポポイ」のオープンに向け、白老駅に停車する特急列車を増やす方向で検討する。

観光列車については、「富良野・美瑛ノロッコ号」「くしろ湿原ノロッコ号」を引き続き運行するほか、すでに発表されている通り、他社からの借受け車両を用いた観光列車の運行に取り組み、地域と連携して観光需要の取り込みを図る。観光列車として使用できる多目的車両の新製にも着手する。

運転改定については、「当社の最大限の経営努力を前提に、地域やご利用の皆様のご理解をいただきながら、運賃改定についても、本年10月の実施に向けて、鉄道事業法上の手続きを進める」という表現で10月の実施を予告。具体的な値上げ幅などは示さなかった。