――ところで、伊藤さんは3歳からこの世界に入られていますが、良い意味で浮世離れされていないのが、印象的です。

ありがとうございます。そう思っていただけているなら親のおかげですね。この世界に入ったのは、おばあちゃんが新聞に載っていたオーディションの広告を見て、「あっちゃん、テレビ出たい?」って聞いたのがきっかけなんです。僕は「うん」って言ったらしいんですけど、3歳って大概のことを「うん」って言うじゃないですか(笑)。なので、僕自身がテレビに出たいとかよく分かっていませんでしたし、親もこの世界に入れたいとは思っていなかったので、意識が薄かったかもしれません。大学まで学生生活も送れましたし、普通に過ごせてきた感じです。

――4歳のときには、「チビノリダー」で多くの人が知っている存在になったと思いますが、特別扱いされることはなかったんですね。

「チビノリダー」に関して言うと、まったく当時のことを覚えていないというのが、逆に良かったかもしれないです。断片の記憶もないので、一時期悩んだこともあったんですよ。覚えていなさすぎて。でも、(仲村)トオルさんが「つらいことや苦しいことは覚えている。楽しいことや幸せなことは忘れるようになっている」とおっしゃったんです。「じゃあ、やっぱり仕事をしていたときはすごく楽しかったんだろうな」と思えて、覚えていなくてもいいやという考えになりました。

――確かに、幼かったときに経験した痛かったことやトラウマ的なことは覚えていますもんね。

10代、20代のときって、調子に乗る時期が誰しもあったりしますよね。でも当時をまったく覚えていないので、「俺ってさ、チビノリダーやっていたんだよ」とか言えないんですよ(笑)。覚えていないから自覚がなく、自慢気に語ることもなかったんだと思います。

■伊藤淳史が語るネットとの向き合い方

  • 左から西島秀俊、伊藤淳史 -テレビ朝日提供

――今回の『明智小五郎』はサイバー犯罪がテーマです。伊藤さんご自身のネットとの向き合い方をお聞かせください。

ネットニュース大好きですよ! しょっちゅう見てます。見ることがクセになっていますね(笑)。

――ご自身や出演作の評判について、"エゴサーチ"することはありますか。

それはないですね。でも、たまに「このドラマが好調だ」などといった記事をたまたま見ていたときに、自分も出ているドラマの記事だったことはあります。今回の『明智小五郎』も発表日を忘れていて、普通にネットニュースを見ていたら、「明智小五郎がリメイクで放送決定」という記事を目にしました(笑)。

――それでは最後に、本作『名探偵・明智小五郎』の見どころをお聞かせください。

これ以上ない贅沢な作品になっていると思います。刑事モノ、推理モノ、医療モノ、「明智小五郎」と全部詰まっています。さらには、豪華キャストで木村監督という、これ以上のものは集まらないのではというくらいです。「見逃さないで!」というシーンがド頭からあるので、一瞬も目を離さずに見ていただけるとうれしいですね。

■伊藤淳史
1983年11月25日生まれ、千葉県出身。子役として様々な作品に出演し、『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジ)の「仮面ノリダー」でチビノリダー役として知名度を上げる。映画『鉄塔 武蔵野線』(97)で初主演、主演映画『独立少年合唱団』(00)が、ベルリン国際映画祭のアルフレート・バウアー賞を受賞したほか、数々の賞を受賞。2015年公開の『映画 ビリギャル』での演技により、第39回日本アカデミー賞優秀助演男優賞に輝いている。ほか、ドラマ『電車男』(05)、『チーム・バチスタの栄光』シリーズ(08~14)など、様々な作品で主演・助演問わず活躍している。

■テレビ朝日系スペシャルドラマ『名探偵・明智小五郎』(30日・31日 21:00~)
『TRICK』シリーズや『民王』などを手掛けた木村ひさし監督の指揮のもと、西島秀俊や伊藤淳史をはじめ、石田ゆり子、岸井ゆきの、香川照之、生瀬勝久らが集結。日本が誇る推理作家・江戸川乱歩が生み出した名探偵・明智小五郎(西島)が現代を舞台に、警視庁刑事部「サイバー捜査支援室」の小林捜査官(伊藤)とタッグを組み、明晰な頭脳とアクションをさく裂させながらサイバー犯罪に挑む。