• ひよっこ、有村架純

■長期の『ひよっこ』撮影でタフさに自信

――『ひよっこ』は有村さんの役者人生にどういう影響を与えていますか?

『ひよっこ』にずっとすがっているつもりはまったくなくて、いい意味でちゃんと過去になっています。でも、1年同じ役と向き合って、一日一日乗り越えてきたので、どんだけハードなスケジュールと出くわしても、過酷なものにぶつかっても、乗り越えられるような気はしていて、そういう力はすごくついたなと思っています。

――長期の『ひよっこ』の撮影を乗り越えるために工夫していたことはありますか?

まずは体調を崩さないことが大事なので、食事はなるべく自分で用意したものを持って行く、運動できるときは走る、ジムに行く、ということは徹底していました。あとは、無理をしない、頑張りすぎないことを気を付けていました。佳乃さんが「主演の人は何もしなくていいんだよ。周りがなんとかしてくれるから、ただ現場にしっかり立っているだけでいいんだよ」とおっしゃってくださって、それですごくマイペースでいられましたし、自分のペースを大事にできた現場だったので、最後まで楽しくできたのかなと思っています。

――『ひよっこ』ロスにはなりませんでしたか?

終わったって実感するのがすごく遅くて、ロスというか、体がついていかないというか。年を越したら映画の撮影があったので、気持ち的には早く切り替えなきゃと思っていたんですけど、1年は本当に長いのですぐには忘れられないですよね。茨城弁も染みついていたので、次の作品に切り替えるのはすぐには難しかったです。

■日常を大切に生きているみね子の姿を尊敬

――先ほど「『ひよっこ』だなという世界」とおっしゃっていましたが、改めて有村さんが思う『ひよっこ』のイメージとは?

『ひよっこ』は日常の中の本当にピンポイントの部分を描いていて、セリフに起こさなくていいんじゃないかという会話もきちんとセリフに起こされている。それがはすごく『ひよっこ』らしいというか、山もないし谷もないのが『ひよっこ』の世界だなと。そういう日常を面白く描くって逆に難しいと思うので岡田さんはすごいなって思うし、それが『ひよっこ』だなと思います。

――みね子にとっての幸せとは?

今、目の前で起きていることを、小さいことでも大きいことでもちゃんと感じられるのがみね子にとっての幸せ。例えば、ハヤシライスはすずふり亭のが一番おいしいとか、卵がうまく割れたとか、みな子の幸せはそういうことなのかなと思います。

――有村さんにとっての幸せは?

私の幸せは、今は作品を作ること。周りの人たちが愛情をもって自分と接してくれていると感じられますし、それに伴って自分も同じように返していき、相乗効果で作れる作品ができたときは本当に幸せだなと感じます。また、気持ちを素直に言葉にできたときや、いい本に出合ったときにすごく幸せを感じます。

――みね子に影響を受けたと感じている部分はありますか?

みね子は、本当に些細なことで幸せを感じられる人なんだなと、改めて台本を読んで感じました。日常をちゃんと大切に生きている姿は尊敬するし、自分も見落としている部分を思い出させてくれるような人。笑顔で前向きで、落ち込んだとしてもポジティブに考えて、いつも幸せいっぱいな気持ちでいられる人だから、自分もそういう気持ちを大事にしたいです。『ひよっこ』の現場にいるとツボに入ることが多くて、みね子を演じていると気付いたらよく笑っているなと。みね子から影響されているものを大事にしようと思います。

――前作からの期間に、共演者の方と交流はされていましたか?

『ひよっこ』が終わってからも交流はあります。個人的に由衣ちゃんと仲良くさせてもらってるのでお茶に行ったりとかしていますし、三男(泉澤祐希)やヒデさん(磯村勇斗)とご飯に行ったりもしています。

■『ひよっこ3』があったら? みね子&ヒデの子供に期待

――みね子は今後どうなってほしいですか?

いつか子供が生まれてまた新しい幸せを感じられたらいいなと思いますし、これからも日常を大切に、当たり前だと思わずに生きてほしいなと、すごく思います。

――もし『ひよっこ3』があるとしたら、どんなことをやりたいことは?

豊子(藤野涼子)に彼氏ができていてほしいのと、みね子とヒデさんの間では子供ができたか生まれるかしていてほしいのと、三男と米子ちゃん(伊藤沙莉)がケンカして、三男が家出してきてあかね荘に住むとか、すずふり亭の制服がまたちょっと変わるとか、そういうい感じがあったらうれしいです。いくらでもできちゃますね(笑)

――最後に、『ひよっこ2』を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

前作同様、同じキャストが総出演されているので、みんながどこで出てくるかっていうのも楽しみにしてもらえたらなと思います。繰り広げられる日常の中に大事なセリフもあるし、日常を描いているけど気付ける部分はたくさんあると思うので、みね子たちのように小さな幸せを一緒になって感じてもらえたらいいなと思いますし、たくさん笑ってほしいです。

なお、『ひよっこ2』放送に先駆け、『ひよっこ』総集編が3月21日(NHK総合 前編10:05~11:33、後編13:05~14:40)に放送される。

■プロフィール
有村架純
1993年2月13日生まれ、兵庫県出身。2010年女優デビュー。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(13)で人気を博し、『映画 ビリギャル』(15)で第39回日本アカデミー賞優秀主演女優賞および新人俳優賞を受賞。また、同作と『ストロボ・エッジ』(15)で第58回ブルーリボン賞を受賞。NHK連続テレビ小説『ひよっこ』(17)ではヒロインを演じ、2016年、2017年と2年連続で『NHK紅白歌合戦』の紅組司会を務めた。そのほかの代表作は、ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(16・フジテレビ)、『中学聖日記』(18・TBS)、映画『アイアムアヒーロー』(16)、『何者』(16)、『3月のライオン 前編/後編』(17)、『関ヶ原』(17)、『ナラタージュ』(17)、『コーヒーが冷めないうちに』(18)、『フォルトゥナの瞳』(19)など。

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