「尖ったというか、気が大きくなっていたんでしょうね。『そんなことをしても、別にそこから得るものって何もなかったよ』って言いたい。何もなかった(笑)。恥ずかしいことしかなかったですね」。

自身の過去についてそう語るのは、東野圭吾の同名小説を映像化した『連続ドラマW 東野圭吾 「ダイイング・アイ」』(WOWOW 3月16日スタート 毎週土曜 22:00~ 全6話 第1話無料放送)で主演を務める三浦春馬だ。劇中でクールなバーテンダー役に挑んだ三浦に、演じたキャラクターや作品への思い、役者人生における転機、後悔している過去の出来事などについて語ってもらった。

  • 演じたキャラクターや、役者人生における転機、後悔している過去の出来事などについて語る三浦春馬

    三浦春馬

――バーテンダーの雨村慎介が、過去に起こした交通事故を機に、保身や贖罪といった人間のダーティな面が色濃く浮かび上がってくるサスペンス・ドラマでしたが、どんなアプローチで雨村慎介という役に取り組まれましたか?

原作を読み、台本をしっかりと読みました。あとはバーテンダーの所作として、日本で一番になったこともある実力を持つ方にきちんと指導をいただいたいので、テクニックを馴染ませていく作業がすごく楽しかったんです。バーテンダー監修の水澤さんのお店の厨房に立たせてもらって、実際にシェーカーを振り、お酒を作る練習をさせてもらいました。そういうことをやらせていただいて、バーテンの仕草としては、十分な練習時間をいただけたんじゃないかなという感じだったので、よかったです。

――雨村慎介は感情移入するのが難しい役だったかと思いますが、心理面ではどんなアプローチを?

今回はありがたくも、脚本の吉田紀子さんが、キャラクターのバックボーンを細かく書いてくださったんですね。なので、自分の想像を膨らませるというよりは、それに忠実に演じられればいいかなという思いでした。(吉田さんの設定は)原作とは離れすぎず。だけど原作には書いていなかった、父と母がなぜ出会ってというところから始まり、主人公と兄の関係性だったり、主人公と両親の関係性みたいなところから丁寧に書かれていたので、僕は(読んでいて)とても面白かったです。

――登場人物が見せる、保身や欲といったダークな側面については、どんな思いを抱きましたか?

自分の欲を出したり、保身を続けることがなければ、ここまで自分が時間を共にしてきた人間や、尊敬していた人間の変わり(=変化)を見ることはなかったのではないかという後悔の念などには、考えさせられるところが多分にあるのではないかと感じる作品でした。