「BTO」とは【Build to Order】の略で、日本語では「受注生産方式」や「受注加工生産」などと訳されています。製造業の分野で、注文が来たら、それに合わせて組み立てをおこなう方式です。
パソコンで有名になったBTO
BTOの最も身近な例は「BTOパソコン」でしょう。これは、カスタマイズできるメーカー直販のパソコンです。
営業資料を作るのか、作曲をするのか、それともVRでゲームをするのか、目的によって必要なパソコンのスペックは変わってきます。BTOパソコンなら、CPUのクロック数やメモリの容量、SSDやグラフィックカードの有無、キーボードの種類などをあらかじめ選択して買うことができるのです。
このビジネスモデルは、コンピューターメーカーのDELLによって有名になりました。現在は、Appleやレノボ、VAIOなど多くのメーカーがこの方式で販売しています。
BTOビジネスのポイント
BTOビジネスを成立させるには、不特定多数の顧客のオーダーに応えながら、しかも素早く納品しなければなりません。BTOが盛んになった背景には、ITの発展によって仕入れ元や配送業者との強い連携が可能になったことがあります。
家具のオーダーメイドやアパレルのオートクチュールも受注生産ですが、BTOは「受注生産でありながら、大量生産に近い生産性を実現している」という違いがあります。BTOは受注生産といっても、完全なオーダーメイドではなく、選択肢が限られるセミオーダーなのです。
受注生産と見込み生産
商品の製造方式には、大きく分けて「受注生産」と「見込み生産」があります。見込み生産とは、需要予測や販売計画などの「見込み」に基づいて商品を作り、販売する方式です。パンや靴や家電など、多くの商品は見込み生産によって提供されていますが、これは売れ残ってしまう「在庫リスク」が大きい方式でもあります。
見込み生産と違い、BTOには、消費者は自分の求めるモデルを買うことができ、メーカーは完成品在庫を持たなくてすむというメリットがあります。
ただし、完成品に近い段階で在庫を持つならば、結局多くの品目を持たなければなりません。かといって部品を一から組むところから始めては、納期が長くなり顧客を待たせてしまいます。いかにこのバランスを取っていくかが、BTO生産の鍵となります。
また、いくら「好みを選べる」からといっても、何千種類も選択肢を用意したのでは、逆に購入者が困ってしまいます。BTOでも、消費ニーズを予測すること、そしてそれにより選択肢を狭めることが重要です。
BTOによる製造販売が行われているのは、パソコンの他には自転車やオートバイ、自動車などがあります。自動車は購入するときに、車種やグレードはもちろん、車体やインテリアのカラー、ナビやオーディオ・ETCの種類などを選ぶことができます。
【例文】
「あまり知識が無いから、自作PCではなくBTOのパソコンを買おう」
「そういえばカウンター式の寿司屋とか、屋台のラーメンもBTO方式となるかな」