佐藤天彦名人への挑戦権を10人で争う第77期A級順位戦の広瀬章人竜王―豊島将之二冠戦と羽生善治九段―三浦弘行九段戦が1月11日に行われ、広瀬竜王と羽生九段が勝利を収め、上位の成績は以下の通りとなりました。

3者に絞られた今期 挑戦権は誰の手に?

羽生九段(1)6勝1敗 広瀬竜王(3)6勝1敗 豊島二冠(6)6勝1敗

(カッコ内は今期順位)

2戦を残し、3者が同率1位で並びました!

  • A級順位戦7回戦を終え1敗で首位に並んだ羽生九段、広瀬竜王、豊島二冠(左から)

A級順位戦は例年6月に開幕、翌年3月に最終局が行われ、成績1位の棋士が時の名人への挑戦権を獲得します。ただし、最終局終了時点で1位同星の棋士が複数人出た場合にはプレーオフが行われ、勝ち上がった棋士が挑戦となります。

例外的に11人が参加して行われた前期第76期は何と6人が6勝4敗で同率1位となり、同期戦史上最多の6人によるプレーオフが行われました。およそ10カ月にわたり行われたリーグ戦が、規定により図のように順位下位のほうから並び、一発勝負の連続で挑戦権を争う「パラマス式トーナメント」により決着を見たのです。

前期A級順位戦プレーオフ

今期は成績4位以下の棋士がすべて3敗以上している関係で、挑戦権獲得の可能性があるのは前に記しました1敗の3棋士に絞られていまして、プレーオフが行われる場合も2人または3人になることが確定しています。

3棋士の8回戦、最終9回戦の相手は以下の通りとなっています。

羽生九段……豊島二冠 広瀬竜王 広瀬竜王……深浦九段 羽生九段 豊島二冠……羽生九段 久保王将

挑戦権のゆくえ、その鍵を握っているのは、何と言ってもライバル2人との対局を残している羽生九段でしょう。

両方とも勝った場合は羽生九段が挑戦権を獲得。両方とも負けた場合は挑戦の可能性がなくなります。

また、1勝1敗だった場合は単独1位の可能性はありませんが、ライバル両者のもう1戦の星により、2人または3人によるプレーオフ進出の可能性があります。

確率的には、3者プレーオフになった場合に1局で済む順位最上位の羽生九段がほんの少しだけ有利(羽生九段が37.50%、広瀬竜王、豊島二冠がそれぞれ31.25%)ですが、どうなるでしょうか。

羽生九段はタイトル通算100期のために、広瀬竜王、豊島二冠はさらに保持タイトル数をさらに増やすために、何としても得たいのは名人への挑戦権。A級順位戦の8回戦、最終9回戦はそれぞれ1月31日、3月1日に行われる予定です。