30年もの長きにわたる「平成」という時代が終わりを告げ、新しい時代へと切り替わろうとしている2019年、「平成」を駆け抜けた不滅のヒーロー「平成仮面ライダー」の担い手である東映プロデューサー2人が結集し、何やら新しい企画を立ち上げる準備を進めているという。この情報をつかんだマイナビニュース特撮取材チームは東映本社を訪れ、テレビ企画制作部のプロデューサー塚田英明氏と大森敬仁氏に対談インタビューを敢行。お2人がこれまでに創造してきた「平成仮面ライダー」シリーズ各作品の制作秘話を含めた、興味深い談話の数々をここにお届けする次第である。

  • 東映の塚田英明プロデューサー(左)と大森敬仁プロデューサー 撮影:宮川朋久

――本日は、どうして塚田さんと大森さんが顔を合わせてお話をしているのか、というところからうかがっていきたいと思います。

大森:それは、塚田さんが手がけた『仮面ライダーW』(2009年)と、僕の担当していた『仮面ライダービルド』(2017年)が関係しているんですかね。

塚田:うん。今さらだけど、ビルドとWって似ているよね。

大森:確かに、Wもビルドも、ベルトに2つのアイテムを挿して、組み合わせて変身するから、"2色"という部分が似ていると指摘されていました。視聴者の方々にも、塚田さんにも。

塚田:Wは別々のカラーが真ん中で半分になっている、左右対称なのが特徴なんだよね。ビルドの場合、左右ではなくカラーがまざりあっているから、そこが大きな違いではあります。……という話はともかく、実は僕ら2人、今まで一緒に組んで作品を作ったことがないんですよ。

――そうなんですね。お2人の作られる特撮テレビシリーズは明解な世界観が提示されていたり、ヒーローが活躍する舞台や小道具のひとつひとつまで細かな設定が固められていたりと、ご一緒に作品を作られていないのが意外なくらい、作品カラーに共通部分が見られるように思います。

塚田:大森は俺の作品のマネをしているんじゃないかって、ネットに書かれているらしいぞ(笑)。

大森:そうは言われましても、塚田さんと一緒に仕事をしたことがないので、具体的にどこをマネるとかはできないんです。ただ、塚田さんの作品は"爽快感"が非常に明快に描かれている物語が多いので、僕自身、非常に強いリスペクトを捧げています。そういう意味では、自然と見習いながら作っているかもしれません。

――『仮面ライダーW』でメインライターを務められていた脚本家の三条陸さんが、大森さんの『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013年)や『仮面ライダードライブ』(2014年)でもメインで書かれているといった部分も、塚田作品と大森作品との方向性の類似を感じさせます。

大森:『キョウリュウジャー』のとき、塚田さんに三条さんをご紹介してもらったんです。

塚田:その後に『ドライブ』でも、パイロット(第1、2話)を田﨑(竜太)監督に撮ってほしいという連絡があったよね。でもあのとき田﨑監督は、東映京都撮影所の『科捜研の女』で自分が押さえていて、スケジュール的にどうかという話になった。結局、会社全体のことを考え『科捜研』のスケジュールを調整して、田﨑監督を『ドライブ』に送ったことがありましたが、そのとき「塚田さんは僕といっしょに仕事をしたことがないから、僕のことが可愛くないんですよね」と、謎のアピールをしてきたのが印象に残っています。お前は可愛いとか可愛くないとかで社会を渡ってきたのかと(笑)。

大森:それ、あのときから今までずっと言っていますよね(苦笑)。

塚田:一生言ってやる(笑)。でもそのとき、そういえば一緒に仕事していないなあ、なんてことに気付いたんです。お互い、けっこう長くプロデューサーをやっているのにね。