女優の竹内結子が主演するフジテレビ系ドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(毎週木曜22:00~)が、きょう10日からスタート(初回15分拡大)。竹内演じる氷見江ら危機管理専門の弁護士たちが、情報を操作して裏で社会を動かす“スピン・ドクター”として活躍する姿を描くものだが、従来の“弁護士モノ”とは一線を画する作品に仕上がっている。

  • 『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』主演の竹内結子=フジテレビ提供

前クールでは『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日)、『SUITS/スーツ』(フジ)が視聴率で結果を出し、あらためて人気ジャンルとして認識された“弁護士モノ”。今クールは今作に加え、『グッドワイフ』(TBS)、『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ)と、弁護士が主役のドラマが各局でラインナップされ、「リーガルドラマ流行りは続く」(AERA dot.18年11月30日付)といった指摘が相次いでいる。

しかし、今作を従来のような“弁護士モノ”という型にはめて見てしまうと、その先入観は間違いなく覆される。まず、法律事務所内での会話に、専門用語が出てこない。クライアントの利益を守るための作戦会議は行われず、竹内と、右腕の水川あさみ、新人弁護士の中川大志、法律事務所副所長のバカリズム、事務員の斉藤由貴の間で飛び出す話題は「久々の休みに何をするか」「急に仕事を入れる上司への不満」など。

この会話劇には、今作で「キャラクター監修」を務めるバカリズムが笑いの要素を盛り込んでいるため、日常の中で見過ごしがちな思わずクスッとしてしまうネタが随所に。さらに、演出の関和亮氏が、セリフを言い終えてもなかなかカットをかけないことから、演者に要求されるアドリブスキルも反映されているようだ。

  • 水川あさみ

  • 中川大志

  • 斉藤由貴

  • バカリズム

そして、もう1つのポイントは、定番の法廷シーンが一切出てこないということ。弁護士が被告や検察を追い詰めて一発逆転!…というのが弁護士ドラマの醍醐味だが、今作は竹内演じる氷見が一見さらなるトラブルを起こしているように見えながら、実はあの手この手を仕込んで、スキャンダルを最悪の状況から鮮やかに回避してしまい、不思議な爽快感を体験できる。

取り上げる題材も、第1話は、番組内で行う国民的アイドルグループの謝罪会見という実際に起きた出来事を彷彿(ほうふつ)とさせるもの。昨今は芸能界のみならず、政界、スポーツ界までもスキャンダルが立て続けに報じられているが、現実世界とリンクさせて騒動の裏で起こっていたことの想像をかきたてるという楽しみ方もできるだろう。

また、演出を担当する関氏が手がける映像にも注目。第1話では、アイドルのメンバー同士が肩をぶつけて「ふざけんなよ」と言い放つ動画が、SNSであっという間に拡散される様子が描かれるが、Perfumeの一連の作品や星野源「恋」のミュージックビデオなどを手がけたことで知られるクリエイターならではの斬新な映像で、その拡散の恐怖が表現されている。

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