――秋の新番組がスタートして1クールが経過しました。『ドッキリGP』は初回で10.4%と2ケタに乗せ、『坂上どうぶつ王国』は9.1%でスタート、『99人の壁』は12月1日の放送で単発時代を含めて自己最高の7.1%(いずれもビデオリサーチ調べ・関東地区)をマークするなど、少しずつ結果が出てくるようになったと思いますが、いかがですか?

本当に牛歩みたいな形ではありますけど、徐々に徐々に評価いただけるようになってきていると思います。自分が見ても面白い番組だと思いますので、まずは見てもらえるための努力、そして制作者がポテンシャルを最大限発揮できる環境づくりを、編成としてやれればと思っています。

例えば、去年の4月改編で、20時54分のニュースと天気予報をなくしたんですね。それまでは、20時54分から21時までの6分のうち4分程度がCMだったのですが、20時台の番組から21時台の番組にスムーズに入れるように、本編を20時59分まで放送してCMを1分にしました。その分のCMは別の時間帯に移したので、実はCMの量は減らしていないんです。このように環境を整えることは編成として大切な仕事ですし、他にも広報センターと連携してキャンペーンを立ち上げるなど、できることは何でも積極的にやっていきたいと思います。

  • (左から)『坂上どうぶつ王国』坂上忍、『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』佐藤二朗、『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』東野幸治

――1月からは新ドラマもスタートします。月9は『コンフィデンスマンJP』『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』『SUITS/スーツ』と高評価のドラマが続いていますが。

昔の視聴率から考えれば、これで満足してはいけないと思っていますし、もっと上を目指していかなければならないと考えています。また、ドラマの見られ方が変化している中で、やっぱり“月9”というブランドが背負っているものを伝統的に守っていかなければならないとも思っています。その中で、今回の『トレース~科捜研の男~』(1月7日スタート、毎週月曜21:00~)は、錦戸亮さんの主演で、新木優子さん、船越英一郎さんといった豪華俳優陣も登場します。実際に科捜研の研究員だった古賀慶さんのリアルな原作を元にしていますので、幅広い層に受け入れてもらえる見ごたえある月9になればと思います。

――木10は、最近勢いのある共同テレビさん制作の『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(1月10日スタート、毎週木曜22:00~)ですね。

うちの編成担当が本当に思いを持って企画した作品です。最近、現実の世界でさまざまなスキャンダルが多くなっている中、それを解決していく女性弁護士の物語を、久々の地上波ドラマ主演となる竹内結子さんを主人公に、オリジナル脚本で作り上げます。木10という枠にフィットする形で、多くの女性の方々の共感が得られるようなドラマになればといいなと思っています。

  • 『トレース~科捜研の男~』新木優子 (C)フジテレビ

  • 『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(前列左から)斉藤由貴、竹内結子、水川あさみ (後列左から)バカリズム、中川大志 (C)フジテレビ

■可能性のある番組を信じて4月改編へ

――ところで、『99人の壁』は、バラエティを制作する第二制作室の社内公開プレゼン大会から生まれた企画ですが、このプレゼン大会の意義というのは、どのように捉えていらっしゃいますか?

この半年程度で何百という企画書を見させていただきましたが、実は書面だけではあまりピンと来なかった企画でも、あのプレゼン大会では「おや!? いいな!」と思ったりすることがあるんです。実際に企画者のプレゼンを聞くと、その説明の仕方や人となりなどが相まって、ものすごく期待できる見てみたい企画に思えることがあります。企画書だけでは分からなかったけど、「あぁ、こういうことがやりたいんだ」と気付づかされることも多いので、そういう意味であの大会はすごく重要なものだと思いました。

  • 2018年9月13日に行われた第二制作室第3回企画プレゼン大会で優勝した木村剛氏

――17年の10月改編、18年の4月改編、10月改編で、宮内正喜社長は「3段階のセット改編」と説明していましたが、次の4月改編はどのような位置付けになるのでしょうか?

視聴率だけを見て、低い番組を総取っ替えすることが改編だとは思っていません。今ある番組が少しずつでも受け入れられていく可能性があるのか、ないのか。『バイキング』も、番組スタート時は苦戦していましたが、今の生討論スタイルにして受け入れられてきましたし、『奇跡体験!アンビリバボー』のように長く続いて、より受け入れられて見ていただけるような番組もあります。この3回の改編でかなりの番組を変えてきましたから、可能性のある番組はそれを信じながら、次の4月改編に取り掛かっています。並行して、今ある番組が「こんなに面白いのやってたんだ。これから見てみよう」と気づいてもらえるようなPRについても、さらに努力していきたいと思います。