▼カバーで燃やしてバラードを聴かせる、構成の緩急の妙も生きた後半戦

ここでゲストのランガは降壇。女性エリアに声を掛け、その黄色い声援に喜ぶ一幕も。そしてライブについて「ここに来たからにはみんな仲間。私のライブには、ペンライトよりも愛と思いやりを持ってきてほしい」と言葉にし、前回のワンマンで大熱狂を巻き起こしたアニソンカバーコーナーへ。コーナー後に「いろんな亜咲花を見せていきたいなと思って選ばせていただきました」と語るように、個性がバラバラな5曲が歌われていった。

まず歌ったのは、速くて強いナンバー・鈴木このみの「Beat your Heart」。しかしイントロから楽しそうにジャンプを煽って、Bメロではヘドバンも決めてみせる亜咲花。サビ前ではフリまでコピーしたりとそのリスペクトぶりは徹底されており、カバー1曲目からフロアの温度を一気にぐいっと上げると、ミルキィホームズの「正解はひとつ！じゃない!!」へ。同じく爆上げ曲ではあるが、一転してキュートに歌われていたこの曲では、メンバー4人のソロをマネしながら歌い分ける場面も。サビではフロアも巻き込んで両手を上げての本家の振付を行い、2サビ前の「Q.E.D!!」のコールも大きく響く。

続くWake Up, May'n！の「One In A Billion」は、頭サビを伸びやかに歌い上げてから力強く歌いきり、爽やかなナンバーCHiCO with HoneyWorksの「世界は恋に落ちている」ではみずみずしい成分を強く感じさせるボーカルワークを披露。サビでは本家よろしくワイパーを湧き起こし、場内を清々しい空気で満たしたところで、カバーゾーンのラストを飾ったのはangelaの「Shangri-La」。

歌い出しの瞬間タオルを手にした彼女、angela自身もタオル曲として披露しているこの曲を、敬意を持って歌い切った。観客の高まりもとどまることを知らず、亜咲花自身も「たのしー!」と至福の表情でシャウトするような1曲になった。そんな彼女は、曲が終わってからも「これからもアニメ・二次元が大好き！これからもオタクのぶち上がる気持ちを忘れたくない！」と宣言。次回以降のワンマンでも、カバーコーナーの開催に強い意欲を見せた。

カバーが終わり、再び自身の楽曲披露へ。まずは4月に上京した彼女が、親のありがたみに気づいたときに出会った曲「CITYSCAPE」を、ファンへの感謝の言葉に続いて歌唱。カバーゾーンとは違う暖かく優しい歌声に直前に言葉にした想いを乗せて、会場中を包み込んでいく。サビではフロアのあらゆる方向を向いて、伝える・語りかけるように歌う亜咲花。3月のワンマンでは涙も見せた彼女だったが、ここでは涙を見せずにしっかりと、感謝の想いを伝えきった。

そしてもう1曲スローなバラード「Marine SNOW」を、情感たっぷりに歌う。スローロックではあるけれどもただ穏やかに歌われるわけではなく、溜めを最大限に使い、楽曲の緩急を活かして生で心を震わせていく。それがDメロで一気にフルスロットルになることで生まれたエモーショナルさが、聴く者すべてをとりこにしていた。

曲明け、ラストナンバーのイントロに乗せて「最後は私のアニソン人生を、大きく大きく変えてくれたこの曲でお別れしたいと思います!」と言葉をかける亜咲花。フロアからもクラップが起これば、会場中の準備は万端。「SHINY DAYS」のスタートだ。彼女にとってのアンセムで、フロアもクラップやワイパーで彼女と一緒にこのひとときをハッピーに過ごしていく。だからだろうか。音源では落ちサビにあたる部分で、コール・アンド・レスポンスを試みようと一瞬間が開いた瞬間、フロアからすかさずファンの大合唱が。それに亜咲花も、驚きながらも喜ぶ。

そこから改めて彼女の先導でコール・アンド・レスポンスを行っていき、最後にはクラップだけに乗せて会場中が大合唱。その声に胸いっぱいになった亜咲花は、「大好きー!」のシャウトとともに大サビに突入。最後の「Foo!」も本当に幸せそうなものだった。アウトロでもイヤモニを外して幾度となく「みんな大好きー！」と繰り返した亜咲花。最後はOPを飾った『ゆるキャン△』にちなんで△のポーズで、楽曲とライブ本編を締めくくった。

▼バースデーのお祝いのお返しは、アルバムとツアーの発表！

そのまま起こった「あ・さ・か!」のアンコールを求める声に応えて、再登場する亜咲花。「ここで皆さんにお知らせが……」との言葉に続いて映像での告知に……と思いきやここでスタッフからのサプライズ。「え!? 違う違う待って待って!」と焦る亜咲花をよそに、MICHI、鈴木このみ、西澤幸奏、黒沢ともよからのお祝いVTRが次々と上映され、そのたびに亜咲花は喜びと驚きをあらわにしていた。

それを経て、来年1月9日にミニアルバム『19BOX(じゅーくぼっくす)』のリリースと東名阪ツアーの開催を発表!「19歳にしか出せない色のアルバムにしたい」と意気込みを語る。そのアルバムには田代智一やfhánaの佐藤純一が提供した楽曲や、亜咲花自身がイチから作詞を手がけた新曲「KILL ME One More Time？」も収録されるとのことなので、来年を期待して待ちたいところだ。

最後に、今年かなえた夢のひとつ・アニサマ出場についても「私だけの力じゃなくて、みんなで一緒に目指してた夢だったんだなって出演が決まってからふつふつと感じるようになりました」と触れると「夢って諦めなければかなうし、口に出す分には減らない。20歳にはホール級の場所でライブがしたい」と意気高らかに語った。

「この先信じてついてきてほしいし、私もみんなを信じたい」とMCを締めくくると、フロアをシャウトで煽ってから、デビュー曲「Open your eyes」のタイトルをコール。イントロや間奏でのキレあるフリと、力強く飛んでくるボーカル。その強さはサビでさらに増す。ハードなデジタルロックで、サビで大きくコールを上げるフロアと、再び全力でぶつかり合う亜咲花。しかし何がすごいかと言うと、彼女がこの曲をイヤモニを外して歌唱しているところである。フロアの声を感じながら、崩れずに1曲を完璧に歌いきったという凄さ。まさにあっぱれのひと言に尽きる1曲だった。

最後にファンをバックに記念撮影を行うと、その後ファンへの挨拶中にBGMとして流れていた「SHINY DAYS」をそのまま歌唱する亜咲花。「最後はこれでお別れするよー!」のシャウトとともに、大サビで会場全体での大きな大きなシンガロングを起こし、暖かくも大きな声に改めて感謝の一礼をしたところで、亜咲花はステージを降りた。

彼女の人生の中で、きっとこの日はいちばん幸せなバースデーパーティー。それはお祝いでもあり、アーティスト・亜咲花の10代最後の1年の幕開けを飾るものでもあった。立て続けに次々と多彩な楽曲を披露するなかで、ずっと楽しそうにそれぞれの完璧を歌い続けるという彼女の“自然な凄さ”は、なかなか真似できるようなものではない。これから20歳に向かって彼女がそれをどれだけたくさんの人に届けられるのか、楽しみに見守りたい。それを果たした先にはきっと、ライブ中に口にした願いの実現が待っている。

●亜咲花 19th Birthday LIVE ～Make It Happen LTB～
【SET LIST】
M1.Eternal Star
M2.Never ending true stories
M3.キミと始まる物語
M4.valkyrie PARTY
M5.Unfulfilled Butterfly
M6.キラッとスタート / Run Girls, Run！
M7.スライドライド / Run Girls, Run！
M8.Go! Up! スターダム！ / Run Girls, Run！
M9.Edelweiss / Run Girls, Asaka！
M10.Beat your Heart(カバー)
M11.正解はひとつ！じゃない!!(カバー)
M12.One In A Billion(カバー)
M13.世界は恋に落ちている(カバー)
M14.Shangri-La(カバー)
M15.CITYSCAPE
M16.Marine SNOW
M17.SHINY DAYS
EN1.Open your eyes