JR東日本は21日、国立研究開発法人理化学研究所革新知能統合研究センター(理研AIP)と「線路設備モニタリングデータへの人工知能利活用」に関する共同研究を理研AIP内にて実施すると発表した。共同研究を通して、線路設備モニタリング装置から得られたビッグデータに対してAI(人工知能技術)を活用し、さらに効果的なメンテナンス手法を構築するとともに、AI人材の育成を推進する。

  • 線路設備モニタリング装置

同社はICT等を活用した将来の労働人口の減少を見据えた仕事のしくみづくりの一環として、線路の状態を遠隔監視できる線路設備モニタリング装置を2013年5月に導入。2018年7月から本格導入を開始し、これにより線路の状態を緻密に把握できるようになった。

今回の共同研究では、線路設備モニタリングによって得られたデータをもとに、AIを活用した線路状態の将来予測、画像判定機能の支援、線路修繕の意思決定支援を行うモデルの構築をめざす。

  • 軌道状態の時系列データのイメージ図

  • 正常な軌道材料の画像の例(レールの継ぎ目)

  • 正常な軌道材料の画像の例(レール表面とレール締結装置)

線路状態の将来予測では、モニタリング装置から得られた線路のゆがみに関する時系列データに対し、将来予測モデルを構築することで、メンテナンスレベルの向上に寄与する。画像判定機能の支援では、モニタリング装置から得られた画像をもとに軌道材料(レール・レール締結装置・レールをつなぐ継目板など)の異常の有無を自動判別している線路設備モニタリングに関して、AIを活用することで異常を自動検知できる軌道材料種別の拡大を図る。これにより、画像確認者の目視による確認作業の負担軽減を目指す。

線路の修繕計画の提案では、AIにより線路の修繕計画を支援するモデルを構築することで、効率的に最適な修繕計画が立てられるようにするという。