みなさんは「アカウンタビリティ」という言葉をご存知でしょうか。よく「アカウンタビリティを果たせ」といった使い方をするのですが、一体どのような意味があるのか。

  • アカウンタビリティの意味を理解していますか?

本稿では、アカウンタビリティの意味と、どのような場面で使うのかについて解説します。

アカウンタビリティの意味

アカウンタビリティとは、もとは「会計責任」という意味の経営用語で、現在は、「説明責任」「説明義務」という意味で用いられることの多い言葉です。

企業や政府など、社会に影響を与えるような活動をする組織には、大きな責任が伴います。

「説明責任」「説明義務」とは、自身が担当する業務や権限を持つような事案について、利害関係者や社会に対し、その方針や考え方、遂行状況などを詳細に説明する義務のことを指します。

アカウンタビリティが必要な場面

政治

「説明責任」という言葉を聞いて、真っ先に安倍首相を思い浮かべた人も多いのではないでしょうか。政府や行政は、その政策内容等について国民の納得できるように説明し理解を得る義務があります。

政策には税金が使われていますし、そもそも議員は国民から選ばれています。そんな国民に対し、税金の使途や必要性、外交の状況、不祥事に対する説明などを行うのは至極当然のことです。

アカウンタビリティを果たせないようでは、有権者に不信感を抱かせることになり、政権交代や辞職に追い込まれることに成りかねません。

株主総会

企業の多くは、株式を発行することで資金を集めています。ゆえに、企業は利害関係にある株主に対し、財務内容や経営戦略、計画、結果等について説明する義務があり、その場として株主総会を開く必要があるのです。

アカウンタビリティが不十分だと、株主総会で解任されたり、出資してもらえなくなったりするでしょう。

社内と社外

従業員は、経営者が立てた戦略に沿って働きます。上層部の指示を管理者が受け、それぞれの部下に直接指示を与えるのが一般的です。

ある案件において重大な過失が発生した場合、まず、社内的なアカウンタビリティとして、直接実行した管理者および従業員は、経営者に対して説明と報告をする義務があります。

一方経営者は、企業の代表として株主などに情報を開示する義務が生じます。

経営者に責任があるのは当然のことですが、従業員にも、与えられた職務や役割に対する実行責任が伴います。何の責任意識も持たずに働いているようでは、社会人とはいえないでしょう。

ゆえに、「上司に言われたとおりにやっただけです」という言い訳は通用しません。同様に、「部下がやったことなので、私にはわかりません」では、経営者の資格はありませんね。

また、このようなケースでは、説明や報告の対象は株主だけでは不十分です。例えば、不特定多数の個人情報が流出してしまった場合には、社会全体へのアカウンタビリティが求められます。

工場排水に有害物質が含まれていた場合には、住民に対するアカウンタビリティも当然必要になるでしょう。

医療・看護分野

医療の現場においても、アカウンタビリティは重要です。医療に関する専門用語は、とかく分かりにくいものが多く、不安を抱いたまま医師に治療を任せてしまう患者さんも少なくないでしょう。

なぜ検査をするのか、どんな治療をするのか、医療の透明性を図るべく、医師は患者に対して明確なアカウンタビリティを行う必要があるでしょう。

アカウンタビリティの例文

・株主総会では、アカウンタビリティが重視されます。
・政治には、常にアカウンタビリティが伴うものです。
・CEOである以上、あなたはアカウンタビリティを果たすべきです。


「財源が足りないので増税します。いいですね」「戦略が上手くいかず今期も赤字です。申し訳ない」「不注意で情報が洩れてしまいました。すみません」では、アカウンタビリティを果たしているとはいえませんね。

大切なのは、いかに納得させられるだけの「説明」ができるかということです。納得できる説明には、確固たる信念が必要ではないでしょうか。

どんな仕事にも責任は伴います。一社会人として、常に責任と信念をもって仕事に取り組みたいものですね。