JR東海は5日、東海道新幹線における架線の着氷霜対策として、氷や霜(しも)の付着をリアルタイムで検知し、車両の加速を自動的に制限することで、大きなアークの発生を抑える技術を開発したと発表した。2020年度の導入をめざし、今月から試行開始する。

  • JR東海が東海道新幹線における着氷霜対策の技術を開発

東海道新幹線は冬季期間の米原~京都間を中心とした区間において、架線に氷や霜の付着(着氷霜)が認められる場合に加速を制限して運転している。着氷霜が原因で架線とパンタグラフが一時的に離れ、アークが発生してパンタグラフを損傷するおそれがあるためで、現状の対策として着氷霜が認められた場合、当該区間を含むあらかじめ定められた一定の区間において、運転士の操作により加速を制限することで、パンタグラフに流れる電流を低減し、パンタグラフの損傷を防止しているという。

JR東海が開発した技術は、パンタグラフ状態監視システム(パンタグラフの異常を早期に発見するため、電流センサーとカメラを設置し、パンタグラフの電流測定や状態確認を行うシステム)の電流センサーを通じ、着氷霜によって生じる電流の乱れの有無を常時監視し、架線への着氷霜を検知した場合は車両が自動的に加速を制限し、架線から取り入れる電流を低減するというもの。リアルタイムの着氷霜検知が可能となるため、パンタグラフの損傷リスクを低減でき、着氷霜区間のみに絞って加速を制限できることから列車遅延を短縮する効果も期待できる。

今後のスケジュールとして、N700Aタイプ10編成での試行を2018年12月から2019年3月まで実施する予定。2020年度の導入をめざすとしている。