賃貸で住んでるお部屋で設備が壊れてしまったら。まずは管理会社に連絡して、大家さんに連絡を取ってもらいながら修理や交換について相談しますよね。

でも、壊れてはいないけど設備がボロボロになってきてしまったら。かろうじて動くけども今にも壊れそう。マンションは築●十年だし、建てた当初から付いてたと考えると、これって、●十年もののエアコン……?

この場合、交換してもらえたりするんでしょうか……? 不動産・住生活ライターの高田七穂さんにお話を聞きました。

Q エアコンの音が最近、うるさくなったし冷風が出てないような……。これは大家さんのものですよね。壊れてはいないけど取り換えてって言えますか?

A 部屋に備え付けのエアコンがあれば、それは大家さんから借りていることになります。ですが、日常のメンテナンスは借りている側の責任。普段からフィルターなどの清掃を怠らないようにしておきましょう。

長く使用していると、作動時に異音がしたり、温風や冷風が出てこなかったりすることがあるかもしれません。また、フィルターの清掃をきちんとしていても、カビ臭がしてくることがあります。これはフィルター内部にある熱交換器内にカビがついてしまっていることが原因と考えられます。この場合は、専門業者の清掃が必要になるでしょう。ただし、エアコンの効きが悪いのは、たとえば室外機の周囲にモノを置いているといった自分の使い方が原因のことがあります。周囲にモノがおいてあるなら動かして、もう一度、状態を確認してみましょう。

ところで、エアコンはどのくらいで寿命が来るのでしょうか。壊れるまでの時期は一概には言えませんが、内閣府が実施している消費動向調査(2017年)の「主要耐久消費財の買替え状況の推移」が参考になりそうです。これによると、二人以上の世帯の結果ですが、ルームエアコンの平均耐用年数は13.6年。このなかで「故障」を理由とした割合は65.2%を占めています。ですから、おおまかにこの年数程度であれば交換時期と言えるのではないでしょうか。

完全に故障していれば、大家さんが修理や交換をすることになります。民法では、606条に以下のように明記されています。

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(賃貸物の修繕等)
第606条1.賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
2.賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

国土交通省の賃貸住宅標準契約書(ひな型)でも、以下のように明記されています。

(契約期間中の修繕)
第9条 甲は、乙が本物件を使用するために必要な修繕を行わなければならない。この場合において、乙の故意又は過失により必要となった修繕に要する費用は、乙が負担しなければならない。
2 前項の規定に基づき甲が修繕を行う場合は、甲は、あらかじめ、その旨を乙に通知しなければならない。この場合において、乙は、正当な理由がある場合を除き、当該修繕の実施を拒否することができない。
3 乙は、甲の承諾を得ることなく、別表第4に掲げる修繕を自らの負担において行うことができる。
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ここで、「完全に動かないわけではないけど大きな不便が生じ、本来の機能を果たしていない」状態であれば、経年劣化による機能低下といえそうです。念のため、賃貸借契約書を見てみましょう。どんな状態となったときに交換や修繕が行われるのかについて、明記してあるかを確認しておきます。

実際は状況次第とも考えられますが、たとえば、大家さんに「フィルターをきちんと掃除しているのですが、カビ臭さが取れません。プロの方でないと内部を壊してしまうのでお掃除をお願いできませんか」「スイッチを入れると大きな音がして眠れないので、取り換えを検討してもらえないでしょうか」などと具体的に困っていることを伝えてみましょう。丁寧にお願いをしてみるのがポイントです。ただし、きちんと動作しているのに「古い」という理由だけで取り換えてもらうのは難しそうです。

エアコン本体には製造年のシールが貼ってあるはずなので、念のため、確認しておきます。また、まずは管理会社に詳しく状況を伝えてみましょう。

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高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中



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