2018夏ドラマ16作採点! 『ぎぼむす』“2つの感動スイッチ”とは?

寸評と目安の採点(3点満点)

※ドラマの結末などネタバレを含んだ内容です。これから視聴予定の方はご注意ください。

■『絶対零度 ～未然犯罪潜入捜査～』　月曜21時～　フジテレビ系

出演者：沢村一樹、横山裕、本田翼ほか
寸評：「なぜ絶対零度シリーズにしなければいけないのか?」という疑問を忘れさせるほど、各話のエピソードで魅了。“仕置き人”を早い段階から登場させ、6話で死なせるなど、プロデュースの妙で視聴者をのめり込ませた。沢村への信頼に加え、視聴率の安定感を踏まえると、続編の制作は間違いない。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆☆　総合☆☆】

■『ラストチャンス 再生請負人』　月曜22時～　テレビ東京系

出演者：仲村トオル、椎名桔平、長谷川京子ほか
寸評：ビジネスドラマ枠の第2弾も、品質水準は高め。「飲食チェーン」という身近な題材で間口は広く、魅力的な主人公像もあって、視聴者の満足度は高い。常に追い込まれるストレスフルな展開が続いたが、キャストの熱演で乗り切った。継続さえできれば、地味だが固定ファンの多い枠になりそう。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『健康で文化的な最低限度の生活』　火曜21時～　フジテレビ系

出演者：吉岡里帆、井浦新、田中圭ほか
寸評：漫画原作よりもナチュラルなヒロインは、時流に合い、「生活保護」という難テーマのハードルを下げていたが、視聴者には響かず。感動作にするにしても、シビアな現実を掘り下げるにしても、やり切ったほうがよかったのでは。多彩な助演キャストの魅力を引き出せなかった点も悔やまれる。
採点：【脚本☆☆　演出☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆】

■『義母と娘のブルース』　火曜22時～　TBS系

出演者：綾瀬はるか、竹野内豊、佐藤健ほか
寸評：名人・森下佳子の脚色に尽きる。4コマ漫画のテイストを極力残して綾瀬の新たな魅力を引き出しつつ、得意の笑い泣きワールドに持ち込み、あわてずさわがず終盤勝負に持ち込んだ。今や絶滅気味のホームドラマで成功を収めた意義は大きく、「火曜ドラマ」のステイタスはますます上昇か。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆☆☆　総合☆☆☆】

■『高嶺の花』　水曜22時～　日本テレビ系

出演者：石原さとみ、峯田和伸、芳根京子ほか
寸評：ひさびさの地上波連ドラ復帰となった野島伸司だが、「圧倒的な身分の差」をカセとして用意して愛の表現方法を模索する“らしさ”は変わらず。婚約破棄、不倫、愛人、難病などの過激な設定はさておき、石原の演技を大げさにしたことで、結果的に視聴者を選ぶ形になってしまったのが痛恨。
採点：【脚本☆☆　演出☆　キャスト☆☆　視聴率☆☆　総合☆☆】

■『ハゲタカ』　木曜21時～　テレビ朝日系

出演者：綾野剛、渡部篤郎、沢尻エリカほか
寸評：NHK版と比較されることを承知で挑んだ気合いが綾野に乗り移り、マネーゲームながら力感あふれる作風に。ただ、ダークヒーローというより、勧善懲悪の世界観を採ったことで、視聴者を困惑させたのではないか。日本企業の闇をもっと掘り下げたかったが、エンタメ性とのバランスが難しい。
採点：【脚本☆☆　演出☆　キャスト☆☆　視聴率☆☆　総合☆☆】

■『グッド・ドクター』　木曜22時～　フジテレビ系

出演者：山崎賢人、上野樹里、藤木直人ほか
寸評：長年にわたる『木曜劇場』の低迷を見事に払拭。善悪のはっきりした設定は、いかにも韓国ドラマ原作であり視聴者の反応が不安視されたが、申し分ないほどの好結果に。各話のエピソードはオーソドックスだけに、小児外科の取材を重ねたスタッフの努力が光る。山崎は役柄の幅が一気に広がった。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆☆　総合☆☆】

■『探偵が早すぎる』　木曜23時59分～　日本テレビ系

出演者：滝藤賢一、広瀬アリス、水野美紀ほか
寸評：緩急の効いた脚本と演出で、ボーっとながら見できるし、グッと引き込まれるシーンもあるなど、深夜ドラマとしてフィット。小ネタ先行で、犯行や謎解きには肩すかしの回も多かったが、芸達者な滝藤の役作りでカバーしていた。コメディとしてスベったシーンも演者が楽しそうなのが救いに。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆☆　総合☆☆】

■『警視庁ゼロ係～生活安全課なんでも相談室～』　金曜20時～ テレビ東京系

出演者：小泉孝太郎、松下由樹、安達祐実ほか
寸評：今シリーズも、各キャラクターの面白さと、やり取りの楽しさは安定。いい意味で、同枠の視聴者が好む定番的な展開を楽しめたが、最終回の展開は泣かされた人も多かったという。事件の背景は重いが各キャラの振る舞いは軽いなど、バランスは取れているが、片岡鶴太郎の言動は賛否両論か。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆】

■『透明なゆりかご』　金曜22時～ NHK

出演者：清原果耶、瀬戸康史、酒井若菜ほか
寸評：産婦人科の日常と明暗を描いた作品として、『コウノドリ』(TBS系)と比較されて当然だが、闇の深さでは大きく上回る。各話ゲストの熱演、やわらかな光を施した院内、癒しの音楽など、ディテールの完成度も高い、文句なしの名作。「視聴率や俳優の人気にとらわれないNHKならでは」と言える。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆☆☆　総合☆☆☆】

■『チア☆ダン』　金曜22時～　TBS系

出演者：土屋太鳳、石井杏奈、オダギリジョーほか
寸評：夏らしい高校生の青春ドラマだが、主要キャストは20歳以上、筋書きは昭和風と、若年層に向いていないのが残念。徐々に成長するドキュメンタリーとしてのダンスシーンを増やしたほうがストレートに感動を誘えたのではないか。挑戦の大きさと結果が比例しなかった。
採点：【脚本☆　演出☆　キャスト☆　視聴率☆　総合☆】

■『dele』　金曜23時15分～　テレビ朝日系

出演者：山田孝之、菅田将暉、麻生久美子ほか
寸評：デジタル遺品というテーマ、週替わりの脚本家起用、枠にとらわれないキャスティングなど、すべてのピースがハマり、近年イチとも言える高品質の作品に。視聴者の感情を揺さぶり、考えさせる結末も、昨今のエンタメライクな風潮に一石を投じた。続編を望むのが酷と思えるほどの仕上がり。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆　総合☆☆☆】

■『サバイバル・ウェディング』　土曜22時～　日本テレビ系

出演者：波瑠、吉沢亮、伊勢谷友介ほか
寸評：よくある婚活指南モノと思いきや、さにあらず。三十路OLの純愛物語に徹してから、徐々に支持を集めていった。ファッションをモチーフにした恋愛アドバイスは前時代的だが、伊勢谷のキャラは回を追うごとにフィット。坊主頭になった最終回のような思い切った演出がもっと必要だったのでは?
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『ヒモメン』　土曜23時5分～　テレビ朝日系

出演者：窪田正孝、川口春奈、勝地涼ほか
寸評：「ヒモのどうしようもない詭弁が、実は仕事や人間関係の本質を突いている」という設定が妙な説得力アリ。窪田は一年前の『僕たちがやりました』(フジテレビ系)といい、クズ役がよく似合うし、川口のコメディエンヌもなかなか。『おっさんずラブ』から当作に続いたことで“超変化球のラブコメ枠”が定着か。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『この世界の片隅に』　日曜21時～　TBS系

出演者：松本穂香、松坂桃李、村上虹郎ほか
寸評：どこまでも誠実に原作漫画やアニメ映画の世界観を踏襲。戦争にフィーチャーしすぎず、女性たちの日常を淡々と描いたことで、何気ない幸せとそれを奪われる怖さを感じさせた。朝ドラの出演経験者に頼ったキャスティングと、中盤までセクシーなシーンを連発したのは、視聴率に対する不安の表れか。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆　視聴率☆　総合☆☆】

■『ゼロ 一獲千金ゲーム』　日曜22時30分～　日本テレビ系

出演者：加藤シゲアキ、間宮祥太朗、小池栄子ほか
寸評：福本伸行原作らしいヒリヒリとした勝負はあったが頭脳戦の様相は薄く、最後のゲームがポーカーであっさり。戦いのテンポが遅く、「誰が行き残るのか」の予想もつくキャストも、スリリング感をそいだ。NEWSのメンバーが全員参加にJr.も参加とあっては、「アイドルドラマ」の枠を出ない。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆　視聴率☆　総合☆】