最近、コンビニへ行くとやたら目に入るチョコミントのお菓子。コンビニだけでなく、テレビの情報番組でも頻繁に特集されている印象です。

  • チョコミントが目立つ

さらに、以前はアイスクリームだけだったのが、最近は和菓子やドリンクまで登場しているようです。また、ブームを支える「チョコミン党」と呼ばれる、熱烈なチョコミントファンにも注目が集まっているみたい。

  • お菓子もチョコミント

かくも熱いチョコミントですが、ある素朴な疑問が。

チョコミント味のお菓子は、だいたい独特のターコイズブルーでデザインされてますよね。でも、ミントってハーブの1種。色はグリーンじゃないですか。何故なんでしょう? 気になったので、調べてみます。

チョコミントの歴史

チョコミントといえばやはりアイスクリーム。そこで、自動販売機でよくみる「セブンティーンアイス」を展開している、江崎グリコさんを訪ねたところ、同社でアイスクリームのマーケティングを担当している井上さんが対応してくれました。

  • マーケティング本部 アイスクリームマーケティング部 井上さん

――早速ですが、セブンティーンアイスのチョコミントは、いつから販売されてるのでしょう。

井上さん:1985年の自動販売機での発売当初より登場し、ずっと販売し続けている超ロングセラー商品です。

なんと! 最初からメニューにあったようです。しかし、当時から人気があったのでしょうか?

井上さん:発売当初から今も販売しているフレーバーは4つしかなく、その一つがチョコミントになります。人気でいうとチョコミントは上位メンバーには属しませんが、ずっと安定した人気を維持しています。チョコミントブームにより、最近は上位メンバーに仲間入りしてますね。

以前はコアなファンが買うフレーバーだったチョコミント、今はすっかり人気者になってるようです。

チョコミントは下位メンバー!?

――ところで「上位メンバー」「仲間入り」という表現。なんだかアイドルグループのような言い方ですね。どうしてでしょうか?

井上さん:専用の自動販売機で購入いただくセブンティーンアイスですが、選べるフレーバーは基本は17種です。私は全てのフレーバーの商品開発およびプロモーションを担当していますので、常に人気(売れ行き)をチェックし、人気のないフレーバーは入れ替えます。強い愛情をもって生み出しますので、入れ替えはかなり辛いです。

  • セブンティーンアイス専用の自動販売機

――たとえると、自販機パネルがステージ(舞台)となり、アイドル(フレーバー)達がセンターを目指して活動している。そうした活動を裏で支えるプロデューサーの心境でしょうか?

井上さん: まさに、その気持ちです(笑)。それぞれのフレーバーの個性をどう引き上げるか、いつも試行錯誤しています。セブンティーンアイスは、学生・お子様・大人の方まで、幅広いお客様にご愛顧いただいていますが、それぞれのフレーバーで、ファンの方が異なりますから、例えば下のパネルには、お子様に人気の高いフレーバーをそろえ、背の低いお子様でも選べるようにするなどの考慮もしています。

  • 17種枠を目指して人気を争う

ちなみに井上さん、毎週1回は開発スタッフの方と打ち合わせながら、半年に1回行われる入れ替えプランを計画するらしい。その打ち合わせの際は、フレーバーの試食で1日20本近くもアイスクリームを食べるそうです……プロデューサーも大変だ……。

チョコミントがブルーの理由

それでは、いよいよ核心にせまりたいと思います。

――ミントの葉はグリーンですが、何故チョコミントアイスはブルーなのでしょうか?

井上さん:まずは、このミントブルーの色合いをどう作っているかをご説明します。開発現場では、スピルリナ色素の青色と紅花黄色素の黄色を掛け合わせて色を出します。また、この色合いをどの程度の濃さにすれば、より美味しく見えるかというところも、研究を重ねています。

簡単そうに説明されてますが、これ、かなり複雑な作業工程を経ているはず。

井上さん:何故ミントブルーが起用されているのか、当時の記録がないため推測ですが、ミントの爽やかな香りのイメージを表現したのだと思います。緑色が強すぎないよう、食欲のわく色合いで調整しています。

井上さんによると、店頭でおいしそうに見えるよう、自動販売機のパネルは強めのミントブルーカラーにして、実物のやさしい色合いとはあえてギャップを作るようにしてるそう。特にチョコミントは固定ファンが多いので、遠目でもチョコミントがあることを伝える必要があるみたいです。ここでチョコミントファンについて、もう少し聞いてみました。

――やはり、チョコミントにはコアなファンが多いのですね?

井上さん:そうですね、他のフレーバーを選ぶ方は、購入前に色々迷ってから決める方も多いです。対照的に、チョコミントを選ぶ方は迷いがありません(笑)。

指名買い、迷いがない!! まさに推しメンの世界。チョコミント愛を感じる話です。せっかくなので、話題のチョコミン党についても聞いてみましょう。

チョコミン党はアイスでも大活躍?

――昨今チョコミントはトレンドだと聞きますが、どのように思われますか?

井上さん:私としては、根強いファンの方々が支持してくださった良さを、他の皆さまにも評価いただける日がやってきたなという感覚です。セブンティーンアイスでも、チョコミント一筋でずっと食べ続けてくださったお客様が大勢いてくださり、そのおかげでずっと販売を続けることができましたので、愛好家の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

  • TV番組がチョコミントブームに大きな影響を与えたのでは? と話す井上さん

――実際、チョコミントの売り上げは大きくなってるのでしょうか?

井上さん:2010年頃は売り上げの回転ランキングでも9-10番程度でしたが、近年大きく躍進し、2016年は5位、2017年は3位まで順位が上がっています。直近の18年4-6月時点では、対前年比120%くらいの回転になってますね。

すごい勢い。以前は下位メンバーだったのに、今は上位の常連メンバーに大出世。ちなみにセンターは、ワッフルコーンショコラだったのが、最近はクッキー&クリームに入れ替わったそうで、熾烈なセンター争いが勃発してるよう。

ちなみに井上さんは、「チョコミントは個性が強いので、センターでなく、3番手のポジションを常にキープして欲しいです(笑)」と発言。まさにアイドルマネージャー!

関西人はチョコミントが苦手?

ところで、このチョコミントフィーバーに地域差はあるのでしょうか? 以前、「関西人はチョコミントが苦手らしい」というウワサを聞いたことがあります。本当でしょうか?

井上さん:実は、チョコミント全体の売り上げは伸びてますが、関西エリアは未だ強いとはいえません。具体的には、近畿エリア(兵庫・大阪・京都・滋賀・奈良・和歌山)、中四国エリア(鳥取・広島・岡山・島根・山口・四国4県)ではチョコミントの販売比率が全体より低いです。逆に首都圏エリア・関東エリア・北海道東北エリアは販売比率が高いです。

  • 青い部分が弱い地域 (c)2006-2018, Sankakukei.

井上さん:販売比率が最も高いエリアは首都圏エリアです。地域によって、ここまで大きく差のつくフレーバーはチョコミントだけですね。

なんということでしょう! ウワサは本当だった!! さすが? 関西人、わが道をいきますねー。ただ、最近は少し様子が変わってきたようで、最後に次のようなお話をされました。

井上さん:先ほどもお伝えしましたが、直近の販売伸び率は全国で120%くらいですが、関西エリアは130%弱と全国平均を上回り、確実にファンは増えてきていると実感しています。関西に隠れている「実はチョコミント好きさん」が市民権を得られるよう、これからもセブンティーンアイスはチョコミントを販売し続け、寄り添っていきたいですね。