7月19日に発売されたスバルのクロスオーバーSUV・新型「フォレスター」(「e-BOXER」を搭載する「Advance」のみ9月14日発売)。外観に関してはキープコンセプトな印象を受ける同車両だが、中身はどれほど進化しているのか。実際に体感したその乗り味をお届けしよう。

  • レベルアップした新型「フォレスター」の走りをチェック!

先代から変わったところとは?

新型「フォレスター」のボディサイズは、全長が+15mm、全幅が+20mm、ホイールベースが+30mmと、それぞれわずかに先代から拡大しているが、外観は一見して「フォレスターだ」と分かるスタイルを維持している。

  • グレードは「Touring」「Premium」「X-BREAK」「Advance」の4種を展開

ただし、キープコンセプトなのはデザインだけで、プラットフォームは2016年10月に登場した現行「インプレッサ」から順次展開がなされている「スバルグローバルプラットフォーム」を採用し、搭載されるエンジンも水平対向4気筒2.5リッターDOHCの直噴エンジンと水平対向4気筒2リッターDOHCの直噴エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドモデル「e-BOXER」の2機種となるなど、大幅に改良がなされている。

  • 2種のパワートレインでそれぞれ異なる乗り味を楽しめる

もちろん、スバルの先進安全装備である「アイサイト」は最新のものが搭載され、ツーリングアシストを標準装備としている。さらに、「Advance」グレードにはスバル初採用の「ドライバーモニタリングシステム」を装備。専用カメラがドライバーをモニタリングし、安全な走行をサポートするだけでなく、登録した顔情報と照らし合わせ、それぞれのシートポジションやミラー位置、エアコン設定などを合わせてくれるおもてなし機能まで備わっているのだ。

  • カメラはインパネセンターバイザーに内蔵されている

グレードは分かりやすい4種を用意

新型「フォレスター」のグレードは、ガソリンエンジン車が3グレード、e-BOXERを搭載するハイブリッドモデルが1グレードの計4グレード展開となっている。

ガソリンエンジン車のパワートレインは全て共通で、水平対向4気筒2.5リッターエンジンにリニアトロニックと呼ばれるCVTを組み合わせたもの。ベーシックグレードとなる「Touring」(280万8,000円)をベースに、18インチタイヤホイールや、合成皮革シート、LEDフォグランプ、光輝ウインドウモールなどで上級に仕立てた「Premium」(302万4,000円)、そして先代から引き続いて設定となった、オレンジの差し色が特徴的なアクティブなユーザー向けの「X-BREAK」(291万6,000円)の3グレードを用意している。この3グレードの中で、「X-BREAK」のみが撥水シート表皮やルーフレール、17インチのオールシーズンタイヤを標準装着し、よりアウトドアユースを念頭に置いたモデルに。

  • スタンダードモデルの「Touring」(ボディカラー:ダークグレー・メタリック)

  • 上級装備を満載した「Premium」(ボディカラー:クリムゾンレッド・パール)

  • 冒険心を掻き立てるデザインとアイテムを備えた「X-BREAK」(ボディカラー:クリスタルホワイト・パール)

一方のハイブリッドモデルであるe-BOXERを搭載した「Advance」は、前述の「ドライバーモニタリングシステム」をはじめとして、スバルの先進技術を標準装備したモデルとなる。価格は309万9,600円と、ガソリンエンジン車の「Premium」と大差ない価格となっており、どちらを選択するかユーザーも悩ましいところではないだろうか。なお、5月18日からスタートした先行予約では、約4割が「Advance」を選択しているそうだ。

  • 安全性をより高める先進装備に加え、新感覚の走りをもたらすe-BOXERを搭載した「Advance」(ボディカラー:ジャスパーグリーン・メタリック)

スバルグローバルプラットフォームの実力は?

新プラットフォームの採用により、操舵応答性と操縦安定性を飛躍的に向上させたという新型「フォレスター」。今回はクローズドコースでの試乗となったため、一般道よりも速いペースで走行してみたりもしたが、重心の高いSUVタイプであることを忘れてしまうほど安定方向の挙動に終始してくれた。

  • 道や天候を問わず、ドライバーの意志に忠実なハンドリングを実現

やや荒れた路面や段差を越えたときでもミシリとも言わないボディ剛性感は言うまでもないが、オーバースピード気味にコーナーに飛び込んでも、涼しい顔でそのまま曲がっていってしまう感覚は、自分の運転が上手くなったかと錯覚してしまうほどであった。

  • 旧型の「フォレスター」と乗り比べてみると…

当日は旧型「フォレスター」も用意され乗り比べることもできたが、新型と比べてしまうと旧型は明らかに頼りない印象で、コースを1周するだけでそそくさと運転席から降りてしまったほど。過去に旧型を乗ったときはそのような印象を持つことはなかったので、恐らく新型の完成度が高いが故のことなのだろう。

パワートレインはどう違う?

旧型は2リッターエンジンがメインだった「フォレスター」だが、新型は2.5リッターと排気量を拡大。2リッターモデルは、モーターを組み合わせたハイブリッドモデルへと変貌を遂げた。また、ターボ仕様や3ペダルマニュアルは廃止され、シンプルな車種構成となっている。

2.5リッターモデルは排気量アップの恩恵もあり、全域でトルクアップしている印象。車両重量は先代から10~20kg程度しかアップしていないため、より軽快な走りを楽しむことができる。トルクアップの恩恵は、高速道路をひた走るようなロングツーリングで本領を発揮してくれそうだ。

  • 熱マネジメントシステムの採用、徹底した軽量化などにより、力強い動力性能と優れた環境性能を両立した2.5リッター直噴エンジンは、「Advance」以外の3グレードに搭載

一方、ハイブリッドモデルのe-BOXERは、極端に燃費性能に振った他メーカーのハイブリッドモデルとは一線を画しており、どちらかというと中低速域でのレスポンス向上に主眼を置いているようだ。そのため、市街地走行などちょっとアクセルを踏み足したときに瞬時にモーターのトルクが立ち上がり、気持ちよく加速してくれる。

そのため、高速道路での長距離移動が多い人には2.5リッターモデルを、市街地走行が多い人にはe-BOXERモデルをオススメしたい。実際、カタログのWLTCモード燃費は市街地モードではe-BOXERが勝るものの、郊外・高速道路モードでは2.5リッターモデルが上回っている。

  • フレキシブルタワーバーなど、STIのスポーツパーツも用意

進化した「X-MODE」で悪路もなんのその

滑りやすい路面などのシーンで、エンジン、トランスミッション、ブレーキ等をコントロールするX-MODEは、制御を最適化することで悪路走破性を向上。また、路面状況に合わせて2つのモードを簡単に切り替えられるスイッチを設定しており、ドライバーにさらなる安心感をもたらしてくれる。その機能はもちろんだが、フォレスターではX-MODEスイッチがボタンからロータリー式に変更。左に回して「SNOW・DIRTモード」、右に回して「DEEP SNOW・MUDモード」、押し込むとノーマルに戻るという分かりやすい操作体系になっている。

  • 操作がよりわかりやすくなった「X-MODE」。2つのモードに加え、下り坂などで車速が急に上がってしまうような場面では「ヒルディセントコントロール」が作動。常に一定の車速を維持しながら下ることができるように

試乗会場ではオフロードコースが用意され、X-MODEの実力を実際に体感できるようになっていたのだが、試乗当日はまさかの雨。ぬかるみがハンパない想定外のコースとなってしまった。

試乗車はオールシーズンタイヤを履くX-BREAKだったが、当然タイヤも含め全てノーマルの個体。通常であればクルマで走行する気すら起こらないほどのズルズル路面だったが、X-MODEをONにしたフォレスターはグイグイとぬかるんだ路面を登っていってしまうではないか。コース途中には4輪中2輪が浮き上がってしまうようなところもあったが、こちらも難なくクリア。

  • まさに「MUD」な路面状況でも安心感のある走りを見せてくれた

ただ、X-MODEに関しては、電子制御により空転した車輪にブレーキをかけて接地しているタイヤにトラクションをかけるタイプのため、タイヤが空転してしまっても一定のアクセル開度を保つ必要がある。従来の車両であれば、タイヤが空転してもアクセルを開け続けるとその部分だけが掘れてしまって脱出不可能になってしまうため、慣れたドライバーは反射的にアクセルを緩めてしまうが、そうなるとX-MODEの真価を発揮できないので注意が必要だ。

内装の質感も大幅アップ

これまでの「フォレスター」はどちらかというと実用性を重視して素っ気ない内装であり、表現は悪いがやや安っぽいイメージが拭えないものだった。しかし、新型「フォレスター」はベーシックなTouringグレードでも質感が大幅にアップしており、価格に見合ったものとなっている。

  • 「Touring」の内装。ステアリングヒーターも標準装備となる

ユーティリティに関しても向上しており、全グレードで後部座席用にもUSB電源が2つ備えられ、充電中のスマートフォンを収納できるように仕切られたポケットをフロントシートバックに用意するなど、細かな気配りがなされている。さらに後部座席に関しては内寸を見直し、広い後席空間を実現。ファミリカーとして後部座席を頻繁に使用する場合も満足できるものへ進化していた。

  • 後席のUSB電源を全車に標準装備し、フロントシートの背面には3つに仕切られたポケットを採用。スマートフォンやタブレットを充電している最中の置き場所にも困らない

内装色も従来は黒だったが、新型にはAdvanceグレードにオプションでブラウンカラーの本革シートを設定。明るいブラウン系カラーのため、内装がより広く感じられ開放感を得ることができる。現在はAdvanceグレードのみの設定というのが甚だ残念であるが、今後の横展開に期待したいところだ。

  • 「Advance」にのみオプション設定されているブラウンの本革シートは、より一層上質な雰囲気が漂う

このように、先代モデルに比べると40万円近く価格が上昇してしまった新型「フォレスター」だが、全てにおいて正常進化を遂げており、この価格アップもやむを得ないといった印象だった。価格アップを理由に購入を迷っている人は、ぜひ一度近くの販売店で試乗してみることをオススメしたい。きっと、その理由がわかるはずだ。

※価格は全て税込

  • 「Touring」

  • 「Premium」

  • 「X-BREAK」

  • 「Advance」