鉄道博物館の新館開業本館改修記念式典が4日に行われ、内閣総理大臣の安倍晋三氏ら約100名が出席した。鉄道博物館は7月5日に新館オープン・本館リニューアルを迎え、新館では鉄道の「仕事」「歴史」「未来」をテーマとした3つの展示ゾーンを設けた。

  • 鉄道博物館の新館開業本館改修記念式典がオープン前日に行われた

記念式典は新館1階「仕事ステーション」の展示車両E5系(E514形新幹線電車のモックアップ)・400系(411形新幹線電車)を前に実施された。最初に登壇した鉄道博物館館長の宮城利久氏は、「2017年から順次リニューアルを進め、その集大成として明日、新館がオープンします。『仕事ステーション』では新幹線の運転シミュレータをはじめ、多くの仕事体験展示を新設しました。未来の社会・鉄道を疑似体験できる『未来ステーション』、鉄道の歴史を深く学べる『歴史ステーション』も必見です。ますます魅力的にパワーアップした鉄道博物館へのご来館を心よりお待ちしています」と挨拶した。

続いて内閣総理大臣の安倍晋三氏が登壇。「日本の鉄道の父、井上勝は明治元年、イギリスから帰国後に鉄道の必要性を説き、わずか5年で新橋~横浜間の鉄道開業が実現しました。当時、鉄道建設は外国人に頼っていましたが、井上は日本人の手で建設できるようにしてみせるとの決意を持ち、自ら技術者を養成するなど、わが国の鉄道技術の礎を築き上げました。時は移り、わが国の鉄道は年間240億人が利用する、国民生活に欠かせない輸送機関となりました」と鉄道の歴史を振り返った。

安倍氏は新館に展示されたE5系にも触れ、「E5系新幹線は世界最速となる320km/hでの営業運転を可能とするまでになりました。いまや、わが国に技術をもたらしたイギリスで、そして5年後にはインドの大地を日本の新幹線が駆け抜けます」と語った。

  • 新館開業本館改修記念式典に安倍首相も登壇。出席者によるテープカットも

「ここ鉄道博物館にも、海外から多くの皆さんが訪れます。今回のリニューアルで多言語化され、10カ国語で解説が流れるようになったと聞いています。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、すべての方々が安全で快適に移動できるように、鉄道のバリアフリー化や多言語化、Wi-Fiの普及など、一気に進めてまいります」と安倍氏。鉄道博物館の新館オープン・本館リニューアルに際し、「わが国の鉄道の歩みを後世に伝え、こどもたちからおじいちゃん・おばあちゃんまで、そして世界の人々から末永く愛されることを祈念します」と述べ、挨拶を締めくくった。

記念式典では安倍氏や鉄道博物館館長の宮城氏、JR東日本代表取締役社長の深澤祐二氏ら出席者によるテープカットが行われた。式典終了後、安倍氏は新館の展示ゾーンを内覧。説明を行う宮城氏と談笑する場面も見られた。

鉄道博物館の新館は7月5日10時にオープン。地上4階建ての建物の1・2階に「仕事ステーション」、2階に「未来ステーション」、3階に「歴史ステーション」を設け、4階「ビューレストラン」「トレインテラス」から周辺を行き交う新幹線・在来線の列車を展望できる。「仕事ステーション」では展示車両E5系(モックアップ)・400系(実物)の他に京浜東北線209系を模した「車掌シミュレータ」、運転体験ができる「E5 シミュレータ」「E233 シミュレータ」も新設された。なお、新館オープンに合わせて料金体系が変更されており、入館料(個人)は一般1,300円・小中高生600円・幼児300円となる。

  • 新館1階「仕事ステーション」(一部を除き6月26日の報道公開にて撮影)

  • 新館3階「歴史ステーション」(6月26日の報道公開にて撮影)