北海道の玄関口でもある新千歳空港駅。空港ターミナルビルの地下にある

JR北海道の統計によると、乗車客数の第1位はもちろん札幌駅で約9万7000人(2016年度)。では第2位はどこかと言えば、旭川でも函館でもなく、新千歳空港駅なのだ。同じく2016年度の1日平均で約1万6000人の利用客が、この駅から列車に乗り込んでいる。3位以下は、手稲、新札幌、琴似、桑園、小樽と、札幌都市圏の駅が並ぶ。経営危機が訴えられている同社にとって、新千歳空港へのアクセス輸送と、札幌近郊の通勤通学輸送がいかに重要であるかを示す数値である。

新千歳空港駅の利用客数は、2011年度には年間869万人であったのが、2016年度には1104万人と約27%も増加している。インバウンド観光客の増加もさることながら、北海道の経済全体が衰退傾向にある中で、ひとり札幌だけが人口、産業の集中傾向にあることが影響しているとも考えられる。

快速「エアポート」が最重要列車

その、乗車客数1位と2位の駅を結んで走っているのが、快速「エアポート」である。早朝から深夜まで、札幌〜新千歳空港間では15分間隔で走り、4本に2本の割合で小樽まで直通する。

JR北海道にとって、利用客数という意味では、北海道新幹線や幹線の特急列車よりも重要な列車である。札幌駅でも新千歳空港行きは5・6番線に発車番線が固定され、利用客の便を図っている。

最近では、その「エアポート」の混雑が激しい。北広島など途中の主要駅にも停車することから、朝夕は通勤客と空港利用客が錯綜し、筆者の体験では、札幌あるいは空港までの37分間、立ちっぱなしというケースも少なくない。トランクなどの大荷物が、さらに混雑を助長しがちだ。

  • 左:1992年に開業した新千歳空港駅のホーム。利用客の増加に伴い、手狭になってきた。右:空港ターミナルビル内のJRの列車の発車案内。快速「エアポート」だけではなく、南千歳での接続列車も案内