2018年3月17日に実施された小田急電鉄のダイヤ改正については、さまざまな話題があったが、中でも注目されたのが、新型ロマンスカー70000形「GSE」のデビューだろう。オレンジ一色に思える外観や、小田急の伝統を受け継ぐ展望席などが注目の的となっている。

  • 左:GSEの編成全景。ボギー車で、どの車両も乗降扉は車端部にはない点に注目。(提供:小田急電鉄)。右:連接車である、小田急50000形VSE

ただ、2005年に登場した同じく展望席付きの50000形「VSE」とは異なり、「連接車」であることをやめ、展望席がない30000形「EXE」や60000形「MSE」、あるいは通勤型電車と同様の「ボギー車」となったことには、あまり着目されなかったようだ。

連接車は特殊な存在

鉄道車両において一般的なのはボギー車の方だ。細長い車体の車端に近い部分に、前後各1台ずつ、車輪を2軸組み込んだ台車を履かせる構造で、用途を問わず、旅客用の車両のほとんどがこれを採用している。

ただしボギー車には、例えば台車より外側の部分(オーバーハングと呼ばれる)の振動が大きくなり、乗り心地が悪くなるといった欠点もある。それを克服するために考案されたのが連接車だ。台車を車両の連結部分に置き、双方の車体を台車の上に乗せる。こうすることによってオーバーハングがなくなるという利点が得られる。

しかしながら連接車にも、検査の際などに車両を切り離すことが面倒で、特殊な設備を用いなければならないなどといった欠点がある。それゆえ日本ではあまり普及せず、代表格が小田急ロマンスカーであった。