「エアポート」は全列車が6両編成で、そのうち1両が指定席「Uシート」である。指定席料金520円を投資すれば必ず座れるのだが、乗車券の1070円にプラスするには割高に感じられるのか、始発の札幌や新千歳空港から乗れば座れる可能性が高いこともあるのか。「列車によっては満席になる」という程度の利用率である。この点、必ず座れる設備の需要が高い首都圏と比べて、まだ余裕はある。
混雑が激しいのなら、6両以上への増結、または増発を図ればよいのではないかと思うかもしれないが、これが現状、不可能。ネックは、南千歳~新千歳空港間が単線であること。そして新千歳空港駅のホームが1面、線路が2本しかなく、しかもホームの長さが6両分しかないことである。現状が手一杯なのだ。ダイヤに空きがないため、「エアポート」以外の列車の新千歳空港駅への乗り入れも困難である。
新型車両で輸送力増強を図る
JR北海道も手をこまねいていたわけではなく、2014年には、それまでの721系電車の一部を733系電車に置き換えて輸送力増強を図った。721系は酷寒地の北海道らしく、寒さ除けのために客室と乗降口部分に仕切りが設けられている。けれどもこれが、混雑時には乗降の妨げになり、特に札幌駅において停車時間が伸び、列車が遅延する要因の一つともなっていた。
これに対し733系電車は、座席を2人掛けの転換式クロスシートから、Uシートを除いてロングシートとし、乗車定員を増やした。そして客室と乗降口の仕切りを廃して、スムーズな乗降ができるようにした。