しかし、根本的な輸送力増強、混雑解消を図るには、新千歳空港駅の全面改良が、いずれ必要となってくるのが自明だ。マスコミの報道によると、国土交通省は同駅の大規模改修の検討に着手したという。

南千歳では、道内各方面の特急(左の列車は室蘭発の「すずらん」)と「エアポート」がホームの向かい側で乗り換えできる

現在、新千歳空港駅は南千歳駅で千歳線と分岐した支線の終点である。そのため、新千歳空港と帯広・釧路方面、あるいは苫小牧・函館方面との間の移動には、南千歳での乗り換えが必要である。JR北海道も南千歳駅における「エアポート」の発着ホームを工夫して、各方面への特急列車とは、ホームの向かい側で乗り換えできるようにしている。ただやはり、大きな荷物を抱えての乗り換えは面倒で大変だ。

国交省の構想は、新千歳空港駅を大改築、あるいは移転新設して、札幌方面~新千歳空港駅~帯広・釧路方面、苫小牧・函館方面の直通運転を可能とし、同時にホームの延伸や線路の増設を図るというものだ。現状の欠点を一気に解消するものとして注目を集めている。完成目標は、2022年度である。

JR北海道の将来を左右する計画

旧千歳空港のすぐ側を千歳線が走っていたにもかかわらず、国鉄がターミナルビルと接続する千歳空港駅(現在の南千歳駅)を設け、空港アクセス輸送を始めたのは1980(昭和55)年のこと。以来、定時性にすぐれた鉄道による空港利用客の輸送が着目されるようになり、今では当然のように受け止められている。

新千歳空港自体の乗降客数も2016年度には年間2100万人を越え、ここ10年ほどの間は右肩上がりの増加を続けている。

北海道新幹線の札幌延伸までには、まだ10年以上かかり、開業したとしても、東京~札幌間の所要時間はさまざまな速度向上策を施したとしても、約4時間30分程度が見込まれる。一般に鉄道の方が有利と言われる4時間以下に縮めることは難しい。よって航空路の役割が小さくなるとは、中長期的にも考えづらい。

JR北海道にとって新千歳空港利用客の輸送は、まさに経営改善の柱。他方、空港にとっても鉄道との連携が命綱であろう。それだけに、新千歳空港駅の早期改良が望まれるところである。