住宅を購入するときに、建物の代金や仲介手数料を少しでも安くする方法の一つとして、株主優待を活用する方法があります。株主優待とは、企業の株主に対して、配当金とは別でもらえる金券やカタログギフトなどのサービス品のことです。

当然ながら、株を取得する必要があるので、ある程度まとまった資金が必要です。優待がもらえるタイミングは年1回または2回の権利確定後に限られているため、今すぐ割引が受けたいという場合は不向きですが、時期さえ合えば、何かと出費がかさむ住宅購入時の助けになることでしょう。

購入を検討しているハウスメーカーやデベロッパー、不動産仲介会社の株主優待を今すぐチェックして、賢く利用してみましょう。

まとまった投資が必要でも利用する価値は高い

住宅購入関連の株主優待がある銘柄を一覧で整理しました。下表を見てください。ダイワハウスや積水ハウス、住友不動産や東京建物といった、大手のハウスメーカーやデベロッパーは割引優待を行っていませんが、それでも、一度は名前の聞いたことのあるメーカーの名前ばかりではないでしょうか。

いずれの株主優待も権利確定月から3か月後くらいに優待券として送られてきますので、送られてきたとき以降に住宅購入の相談を行う必要があります。

銘柄コード 銘柄名 株価 最低購入価格 権利確定月 株主優待内容(最低購入価格分購入した場合)
1419 タマホーム 1,060円 106,000円 5月・11月 ・住宅購入時建物本体価格より1%引き
・請負金額100万円以上のリフォーム代より1%引き
3年以上保有している場合はそれぞれ2%引きになる
1722 ミサワホーム 981円 98,100円 3月・9月 建物本体価格より以下の割引率を適用
・戸建住宅:工業化住宅3%/在来木造住宅2%
・販売開始1年以上経過した分譲住宅:工業化住宅3%/在来木造住宅2%
・請負金額100万円以上のリフォーム代:3%
1801 大成建設 6,200円 620,000円 3月 工事請負代金・仲介手数料等割引クーポン券(10,000円券)を3枚
・3年以上保有している場合は30,000円券3枚
1878 大東建託 18,280円 1,828,000円 3月・9月 ・建築工事請負代金キャッシュバック30万円
・分譲マンション購入金額キャッシュバック30万円
3288 オープンハウス 6,710円 671,000円 9月 住宅購入代金から10万円相当のキャッシュバック
3年以上保有している場合は30万円相当のキャッシュバック
8850 スターツコーポレーション 2,776円 277,600円 3月・9月 「ピタットハウス」不動産賃貸及び売買の仲介手数料10%引き
8881 日神不動産 733円 73,300円 3月 ・新築マンションの分譲価格を1%引き
9003 相鉄ホールディングス 3,495円 699,000円 3月・9月 ・相鉄不動産販売各店舗での不動産売買・賃貸仲介手数料5%引き
注:売買は100株単位ですが、優待を取得するのに200株の保有が必要です。
9007 小田急電鉄 2,437円 1,218,500円 3月・9月 ・小田急不動産の仲介斡旋手数料5%引き(賃貸を除く)
・小田急ハウジングでの新築・リフォーム・増改築請負金額5%引き
注:売買は100株単位ですが、優待を取得するのに500株の保有が必要です
9008 京王電鉄 5,420円 542,000円 3月・9月 ・京王不動産の売買仲介手数料10%引き
9035 第一交通産業 883円 88,300円 3月・9月 ・分譲マンション:販売定価価格の2%引き
・戸建住宅:建物定価価格の2%引き
・リフォーム:リフォーム請負価格の3%引き

株主優待品が複数ある場合でも、情報を整理するため住宅購入関連の優待のみに絞っています。また、最低購入価格を購入した場合での株主優待を示しており、保有株数が多い場合に割引率が高くなったりする情報も省いています。株価は2018年6月14日現在の終値を使用しています。

物件価格から1%も値引き可能な優待

具体的な優待の例を見てみましょう。例えばタマホームの場合は建物本体価格から1%引きになります。建物本体価格が1,000万円だとしたら10万円を割り引いてもらえます。株主優待を取得するのに必要な資金が約10万円ですから、株を取得した分が割引でトントンになります。

株価が値上がり配当金を受け取ることができればプラスになります。株価が値下がったとしても割引を受けた分以上の損は発生しないことになります。

もちろんこれはタマホームの例の話です。大東建託の場合は株式を取得するのに180万円ほどの資金が必要なので、なかなか手を出しづらいかもしれません。しかしキャッシュバック30万円はかなり魅力的です。ミサワホームの場合は、10万円程度の資金で2~3%の割引が受けられますので、タマホームと同じように、建物本体価格の割引と取得資金とでトントンにできるでしょう。

また鉄道会社の不動産グループ会社による株主優待は、乗車券の株主優待を考えることが多いので見落としがちです。相鉄ホールディングスは200株以上の保有が、小田急電鉄は500株以上の保有が必要で必要な資金は多いのですが。小田急電鉄による小田急ハウジングでの請負金額の5%引きや、相鉄ホールディングス、京王電鉄による仲介手数料10%引きは悪くはありません。

ここで紹介した株主優待による割引は、初回の見積もりまでに提示しなければなりません。したがって株主優待を提示した場合は建物本体の割引が小さくなる可能性があります。全てのメーカーやデベロッパーがそうとは言い切れません。あくまで一般的な営業の仕方を考えてます。

しかし優待券を提示すれば間違いなく価格を割り引きしてもらえますので、購入を検討しているメーカーやデベロッパーから見積もりを取る前に、株主優待による割り引き有無は必ずチェックしておきましょう。