鉄道友の会が24日に発表した2018年ブルーリボン賞・ローレル賞にて、JR東日本E353系、東武鉄道500系、鹿児島市交通局7500形がローレル賞(優秀車両)に選定された。ブルーリボン賞(最優秀車両)はJR西日本の35系客車に決定している。

  • JR東日本の特急形電車E353系

E353系は特急「スーパーあずさ」に使用されたE351系の置換え用として開発されたJR東日本の特急形電車。振り子方式を採用したE351系に対し、E353系は台車左右の空気ばねの空気を給排気して車体を傾斜させる方式を採用したことが最大の特色とされている。2015年に量産先行車が登場して試運転が繰り返され、後に登場した量産車は全車にフルアクティブサスペンションを装備し、車体傾斜による圧縮空気使用量増大に備えて空気圧縮機を増設するなど、量産先行車の試験結果が反映されたという。

2017年12月に特急「スーパーあずさ」で営業運転を開始し、2018年3月からE351系に代わって「スーパーあずさ」全列車に充当。さらなる増備で特急「あずさ」「かいじ」もE353系に置き換え、現行のE257系は東海道本線へ転出予定となっている。鉄道友の会はE353系を「斬新なデザインと高機能を備え、急曲線線区のスピードアップを担うホープであること」を評価し、ローレル賞に選定した。

  • 東武鉄道の特急車両500系「リバティ」

東武鉄道500系は「リバティ(Revaty)」の愛称を持ち、さまざまな運行形態で運用可能な速達性と快適性をあわせ持った特急車両。1編成あたり3両で、3両編成または2編成連結した6両編成での運用を前提とした設計となった。おもに東武スカイツリーライン浅草駅を起点に、日光・鬼怒川方面だけでなく野岩鉄道・会津鉄道にも乗り入れ、さらに東武動物公園駅で分割して伊勢崎線館林駅へ、春日部駅で分割して東武アーバンパークラインへ向かう運用もあり、関東1都4県と福島県に及ぶ幅広い運用をこなしている。

鉄道友の会は同車両の選定理由として、「東武鉄道がこれまでにない運行形態を実現するにあたり、既存の特急車とは一線を画する車両を開発することによって、間もなく90年に達する特急運転網の歴史に新たな風を呼び込んだこと」を評価したと説明している。なお、今年のローレル賞に選定された車両のうち、JR東日本E353系、東武鉄道500系「リバティ」はともに「KEN OKUYAMA DESIGN」がデザイン等を担当している。

鹿児島市交通局7500形「ユートラム III」も受賞

鹿児島市交通局7500形の愛称は「ユートラム III」。1000形「ユートラム」、7000形「ユートラム II」が導入された後、LRT整備計画の改定にもとづき、新たなコンセプトによる超低床車両として導入された。

  • 鹿児島市交通局の超低床車両7500形「ユートラム III」

7500形「ユートラム III」では2車体2台車による連接方式を採用しており、台車は車体に対してわずかにボギーする構造を取り入れることで、曲線の出入口部分でもスムーズな車体の動きを可能とした。また、主電動機と駆動装置は従来品より小型化し、取付け高さを下げている。これらにより、乗り心地の改善が図られるとともに、客室の座席を世界的に例が少ないオールロングシートにすることができたという。鉄道友の会は同車両に関して、「超低床式路面電車の新しい構造を実現し、今後の新しい方向性が期待されます。これらの特徴を高く評価し、ローレル賞に選定しました」と説明している。