鉄道友の会は24日、2018年ブルーリボン賞・ローレル賞を発表した。ブルーリボン賞(最優秀車両)はJR西日本の35系客車。ローレル賞(優秀車両)にはJR東日本E353系、東武鉄道500系、鹿児島市交通局7500形が選定された。

  • 2018年の鉄道友の会ブルーリボン賞はJR西日本の35系客車に決定

ブルーリボン賞に選定されたJR西日本の35系客車は、昨年秋の「幕末維新やまぐちデスティネーションキャンペーン」(山口DC)に合わせ、山口線を走る「SLやまぐち号」の客車として新製された。製作にあたり、最新の車両で採用されたシステムを最大限活用しつつ、外観・内装は旧形客車の印象を視覚的に感じられることを目標とし、「最新技術で快適な旧形客車の再現」をテーマにしていたという。おもに戦前形広窓客車オハ35系をベースとしており、新客車の形式番号もこれを踏襲し、35系4000番台を名乗っている。

車体は鋼製で、窓帯や屋根の形状など、ベースとなった車両の外観が可能な限り再現され、茶色の塗色と相まって蒸気機関車牽引列車にふさわしいものになっている。かつての一等展望車を再現したグリーン車、大型テーブルのあるボックス席を備えた普通車に加え、運転体験コーナー・投炭ゲームコーナーや展示スペース、売店を有する車両も。台車は軽量ボルスタレス台車で、ブレーキ方式は牽引機の自動ブレーキ読替装置付きの電気指令式空気ブレーキ。床下機器として発電ユニットや電動空気圧縮機も搭載されている。

鉄道友の会は選定理由として、蒸気機関車の動態保存列車は機関車だけでなく、牽引される客車の確保も重要な課題であり、「35系客車は開発コンセプトを高いレベルで具現化した点や蒸気機関車列車を永続的に運行するための一つの方向性を示した」点を高く評価した。なお、客車のブルーリボン賞は2000年のJR東日本E26系以来、JR西日本のブルーリボン賞は2015年のW7系(JR東日本E7系とともに受賞)以来となる。

  • 35系客車は山口線を走る「SLやまぐち号」の新客車として製造された

鉄道友の会ブルーリボン賞・ローレル賞は、前年に国内で営業運転を開始した鉄道車両(新造および改造車両)の中から、会員の投票結果などにもとづき選考委員会が審議し、最優秀と認めた車両をブルーリボン賞、優秀と認めた車両をローレル賞に選定している。今年は18形式の候補車両の中から、ブルーリボン賞1形式、ローレル賞3形式が選ばれた。