JR西日本は23日、和歌山線橋本~和歌山間にて、同社の在来線では初という無線式ATCを導入すると発表した。和歌山線に導入される227系の新車に車上装置を搭載する。

  • 和歌山線に導入する227系の新車に無線式ATCの車上装置を搭載する

和歌山線・桜井線では2019年春から227系を導入し、2020年春までに全車両を置き換える予定。和歌山線橋本~和歌山間の無線式ATCは2023年春から一部列車へ導入し、2024年春までに全列車への導入完了を予定している。

無線式ATCは連続的な無線通信によって各列車の位置を検知し、前方列車の位置を把握して後方列車を適正な速度に減速させ、列車間の安全な間隔を確保する保安システム。情報の伝送を地上子・ケーブルから無線へ、信号を地上から車内へ置き換え、地上設備をシンプル化することでメンテナンス性を向上させ、将来にわたって持続可能な鉄道システムをめざすこともできる。

連続的に列車を制御できる無線式ATCの利点を生かし、前方の列車位置だけでなく、異常を検知した際に無線で情報を列車に送信し、制御することも可能。踏切内での自動車の立ち往生をはじめ緊急停止が必要な事象が発生した場合、無線式ATCでは後方列車に対して自動でブレーキを作動させ、運転士を支援することができる。大雨や地震といった自然災害で急な速度規制が発生した場合も、指令員が速度規制の情報を列車に送信することにより、自動でブレーキを作動させることが可能に。こうした急な状況変化にも対応し、運転士を支援する機能が充実している点も無線式ATCの特徴に挙げられる。