"ベッドもソファーも両方"を櫓が実現

「世界のホテルの中でも見たことがないようなレイアウトを達成することができました。『これは本当に大丈夫なのか』と私が一番心配していました」と星野氏が語るように、5階以上に位置するOMO5 東京大塚の客室「YAGURA Room」は、入った瞬間からその空間コンセプトに引き込まれてしまう。事前にOMO5 東京大塚からも近いところにあるスターバックスにてモックアップルームを作成し、一般からの声を反映して調整をした結果が、今回の客室になっている。

  • 客室「YAGURA Room」は19平米という空間を有効活用し、ゆったりとしたソファーベッドと寝台を確保している

客室は全125室で、1室あるユニバーサルタイプの客室はシングルルームだが、それ以外の客室は広さ19平米で3人まで対応可能。ユニバーサルデザインに対応した客室も用意している。客室は4色展開で、グリーンは若葉の春、ブルーは海の夏、レッドは紅葉の秋、そして、グレーは雪雲の冬を表現している。

  • 中心に梁があるという客室は見たことがない

客室を見て最初に驚くのは、中心に梁が立っていることだろう。ヒノキ材で作られたこの梁は櫓(やぐら)を支えるもので、この櫓によって、まるで屋根裏部屋のようなワクワクが楽しめる櫓寝台と共に、ゴロゴロできるソファースペースを確保している。畳張りのフロアというところも、癒やしポイントが高い。

  • 櫓寝台はふたりまで

  • もうひとりはソファースペースをベッドして

建築面積が限られる街のホテルにおいて息苦しさを感じることがないよう、天井の高さや大きな窓がもたらす空間の広がりに着目してデザインされている。また、箱階段の側面は電子ポットや冷蔵庫などの収納スペースを、さらに仕掛け壁にはTVや鏡、ハンガー、タオル掛けなどの収納機能を持たせることで、空間を有効活用しながら和を感じる客室を演出している。

  • バスタオルとタオルは無料

  • 限られた空間でも鏡はやっぱり欲しいところ

  • 階段も和を感じるデザインに

  • 冷蔵庫もしっかり収納

市松模様が大きくデザインされた風呂場には、シャワーだけではなく浴室も備えている。シャンプーやリンス、ボディーソープ、タオル、歯ブラシ、ドライヤーは用意されているが、「スキンケアセット(1泊分)」(540円)や「まかないこすめ ネイルオイル(落ちつく香り)」(940円)等のアメニティー、「ルームウェアレンタル」(200円)等は有料となる。

  • 浴室の市松模様も、部屋によってカラーリングが異なる。トイレは別室仕様

  • アメニティーは販売機で購入を

  • 「ルームウェアレンタル」(200円)はフロントで

  • 客室フロアには、コインランドリーとドリンクコーナーもある

2022年には大阪にもOMO

OMOブランドで提供している7,000円という価格は、星野リゾートが展開しているほかのブランドと比べると安いように感じるのだが、星野氏としては過去に青森屋やトマムではもっと安い価格で提供していた時代もあったと語る。

部屋の平米数から、この空間で楽しめる都市観光客はどんな人たちなんだろうと考え、家族や友人同士で訪れた人々が地域のショップやレストランを楽しむという意味で、想定される年齢層や財布事情を加味すると、この価格帯でいかないといけないと考えたという。また、OMOのブランド使命として、若い人・若い家族に日本の都市を楽しんでもらいたいという想いが込められている。

  • OMO5 東京大塚総支配人である磯川涼子氏。この宇宙観漂う衣装は、"旅のテンションを盛り上げるべく舞い降りた"という設定なんだとか

OMOブランドは旭川と大塚で先行して展開し、2019年にも開業を計画している。具体的な場所については明かされなかったが、「海外は考えておらず、日本の都市での展開を予定しており、実際に多くのところからお声をいただいています」と星野氏は話す。また、大阪・新今宮駅前(大阪府大阪市浪速区恵美須西3丁目16番街区)にて現在開発中のホテルについても、「OMO」ブランドでの展開を予定しており、2022年の開業を目指している。

今後の展開に関してはまず、ビジネス客を忘れて都市観光客に絞るという戦略自体が投資家に受け入れられるものなのかを見極めることが必要になると星野氏は話しており、旭川と大塚は現状、予約状況も順調だという。新たなOMOにも期待がかかる。

※価格は税込