大塚の新たな集い場として5月9日、JR大塚駅北側に古民家十棟丸ごと再生プロジェクト「大塚のれん街」が開業する。開業時には9店舗がそろうのであれば、やはり飲み歩きをしてみたいところ。そこで今回、各店に「ひとりサク飲みでオススメのメニューを教えてください」と質問しながら、飲み歩いてみた。

  • 大塚の夜は更け、「東京大塚 のれん街」が輝く時間が始まる

大塚で人が集う場を

「のれん街」という響きと、各店舗にデザインされた"いろはにほへと"でピンと来た人もいるのではないか。こののれん街は、2017年3月に代々木に開業した「ほぼ新宿のれん街」の第2弾となる。ほぼ新宿同様、スパイスワークス・下遠野亘氏とGood market & shopsの清水暁弘氏が手掛ける古民家再開発は、都電荒川線がすぐ横を通る、趣のある店舗兼住居となっていた古民家を再生させたものだ。これらの古民家はしばらく空き家の状態で駅前に並んでいたという。

  • JR大塚駅北口エリアの両サイドにのれん街が広がっている

店舗として再生させるためには耐震補強工事が必要になったものの、その古民家が持つ独特の風情はそのまま生かされている。そうした日本人のDNAを揺さぶるほどの昭和感は、訪れた人に懐かしさを与えると共に、帰ってきたような安らぎを感じさせてくれるものだろう。5月9日開業時には9店舗でスタートを切るが、第2期として8~9月に2店舗が加わる予定。第3期には、のれん街店舗の側ある駐車場を活用する計画となっている。

  • のれん街の前を都電荒川線がトコトコ

各店舗の"いろはにほへと"の側には「ba02」と記されているが、これは「大塚駅北口に新しいコミュニケーションの場を」という想いを込めた「ba」のひとつという意味だ。大塚出身である山口不動産代表取締役CEOの武藤浩司氏が地元・大塚を盛り上げるべく、泊まる場(ba01)・集う場(ba02)・住まう場(ba03)を展開。その構想に、のれん街は集う場として参画している。

ba01には星野リゾートの都市観光ブランドホテル「星野リゾート OMO5 東京大塚」(4~13階)のほか、オールデイダイニング「eightdays cafe」(1階)と全70種類ものプレミアムサラダバーが魅力の「シズラー大塚店」(2階)が入居している。もうひとつのba03は、ディンクス中心の高級賃貸マンションとして展開する。

  • 「星野リゾート OMO5 東京大塚」も同じく5月9日に開業

「ワラ焼き」+「峰の雪」

早速、各店舗を巡ってみよう。ほぼ新宿のれん街と東京大塚 のれん街は、古民家という環境で多種多様なグルメが楽しめる趣は共通しているが、ほぼ新宿は住宅街の中にある関係上、深夜営業が難しい環境となっている。一方、大塚は商業エリアの中にあるため、店舗によっては深夜3時まで営業するところもある。また、大塚という土地柄もあるのかもしれないが、全体的にコストパフォーマンスが高い傾向があるように感じられた。

  • "い"は海鮮居酒屋「みらく劇場」

せっかくなので"い"から順番に巡りたい。"い"の海鮮居酒屋「みらく劇場」は大阪を拠点に展開している店舗で、この大塚店が東京初進出となる。それゆえに、実は大阪の店舗よりも格安に提供しているメニューもあるんだとか。もちろん、グレードは落とさない。

  • 「ワラ焼き」(税別~780円)と日本酒「峰の雪」(税別380円/グラス)

このお店の「サク飲みオススメメニュー」は「ワラ焼き」と日本酒「峰の雪」(税別380円/グラス)。このワラ焼きはその日によって使用する魚が異なり、その魚によって値段も変わる。「旬のものなので値段が定まらないが、高くても税別780円までにしている」とスタッフ。この日に提供されたカツオは、ワラ焼きの風味とカツオの歯ごたえが絶妙で、付け合わせの粗塩やミョウガ、ガーリックチップスで味に変化を付けられるのもまたいい。

合わせていただいた「峰の雪」は古酒(17BY)で、洋酒を感じさせる旨味が特長となっている。「みらく劇場」の営業時間は17~深夜3時(日曜日は~24時)までとなる。

「名匠 たこ焼」+「樽生ビール」

隣はたこ焼き「名匠 上木家」で、今回の中では同店だけが既存店となる。営業時間も11時30分からと早く、昼から飲みたい"呑兵衛"にも優しい店だ。

  • "ろ"はたこ焼「名匠 上木家」

こちらのイチオシは看板メニューの「名匠 たこ焼」(税込380円/6個)。ほんのり甘いソースで、店内飲食の他、テイクアウトも可能。オススメのドリンクを問うと、「ビールでもハイボールでも、たこ焼はなんでも合うよ」とのこと。「樽生ビール」も「ブラックニックハイボール」も、共に税込380円。「名匠 上木家」の営業時間は11時30分~23時までとなる。

  • 「名匠 たこ焼」(税込380円/6個)はテイクアウトも可能。手前で焼いているのは、たこ焼入りの「元祖たこのみ焼」(税込380円)

「やきとん3本」+「ご当地サワー(あまおう)」

第2期募集区画を挟んだ隣には、やきとん酒場「筑前屋」がある。そもそもやきとんは、関東では戦後の闇市で大衆的な食べものとして人気となったもので、酒の肴として焼き鳥以外に、豚の内臓肉を使用している。やきとんに加え、筑前屋の看板通り、福岡や九州の食材が楽しめる。

  • "に"はやきとん酒場「筑前屋」

オススメメニューとして、そんなやきとんから「まるちょう」(税別180円/1本)、「レバー」(税別150円/1本)、「しろ」(税別150円/1本)が登場。脂ののったプリプリのまるちょうに、しっかりとした歯ごたえがあるレバー、さらに、もっちりとカリっとした食感が楽しめるはつと、それぞれが持つ特長が楽しい。

ドリンクには、「ご当地サワー」(税別480円)から地元・福岡の「あまおう」を選択。見た目の美しさとともに、期待を裏切らない甘い仕上がりに、「さすが、あまおう」という気持ちになった。「筑前屋」の営業時間は17~翌2時(日曜・祝日は~24時)までとなる。

  • 「まるちょう」(税別180円/1本)/「レバー」(税別150円/1本)/「しろ」(税別150円/1本)と「ご当地サワー(あまおう)」(税別480円)

「パリパリ名物! 今月のポテトサラダ」+「リッチレモンサワー」

隣の鶏酒場「素揚げ酒場 パリパリ」では、銘柄どりの「大山鶏」を素揚げにし、モモ、ササミ、ムネや手羽と鶏の各部位をがっつり一度に食べられる「大山鶏 パリパリ半身揚げ」(税別980円)がイチオシメニューではあるものの、揚げ上がりに20分かかってしまうので、ひとりでサク飲みしてサッと帰るにはちょっと不向きかもしれない。

  • "ほ"は鶏酒場「素揚げ酒場 パリパリ」

「サク飲みでしたらこちらを」と差し出されたのは、見た目もびっくりな「パリパリ名物! 今月のポテトサラダ」(税別480円)。"今月"と名前が付く通り、月替わりでアレンジされるポテトサラダなのだが、開業時には竹炭で作ったポテトサラダが振る舞われる。いぶりがっこがアクセントになっていて、さらに、燻製ベーコンやスモークチーズが混ぜ合わされている。

合わせていただいたドリンクは、レモンが丸ごと入った「リッチレモンサワー」(税別480円)。カウンターに色が変わる照明がデザインされているのも、全体的にインスタ映えを狙ってのことだそうだ。「素揚げ酒場 パリパリ」の営業時間は17~翌2時(日曜日は~24時)までとなる。

  • 「パリパリ名物! 今月のポテトサラダ」(税別480円)と「リッチレモンサワー」(税別480円)