既存内燃機関が主体のトラック・バスは変わるか

日野の下社長は、今回の提携会見で「eコマースなどの急速な普及による深刻なドライバー不足、同時にドライバーの高齢化も進んでいる。地方では高齢化が進むと同時に、電車やバスの路線が廃止され、『移動』に苦労されている人たちが増えている。これまでと同じ価値の提供では、これからのお客様のニーズには応えられない。そうした強い危機感をVWトラック&バスと日野は共有している。お互いの力を合わせ、社会の課題を先頭に立って解決していく」と社会ニーズへの物流対応を強調した。

また、VWトラック&バスのレンシュラーCEOは、「今回の協力関係は先駆的なものになる。世界の輸送業界で存在感を示す企業間の協力関係だ。技術的な協力領域の主体はパワートレーンで、既存の内燃パワートレーン、ハイブリッドおよび電動パワートレーンとなる。また、コネクティビティ技術や自動運転などの成長領域でも協力していく」と語った。

  • VWトラックバスのレンシュラーCEO

    VWトラック&バスのレンシュラーCEO

トラック・バスは既存内燃機関のディーゼルが主体であり、世界の環境・燃費規制にも対応していく必要がある。さらに電動化や自動運転、コネクティビティも商用車ならではの方向を求めていかねばならない。ある意味で、社会の役割のためにもオープンな協業の方向に進んでいくのかもしれない。

日本のトラック業界に変化、気になるいすゞの動向

日本のトラックメーカー4社は、ダイムラー傘下の三菱ふそうとボルボトラック傘下のUDトラックスに対し、トヨタ子会社の日野があり、かつてはGMとの資本提携関係が長かったいすゞについては現在、トヨタの資本出資を受けてトヨタグループに入っている。つまり、2社がプロパー、2社が外資という状況だ。

日野といすゞは、そもそもの発祥が東京瓦斯電気工業で分離したいきさつもあり、現在、両社は「ジェイ・バス」として合弁バス事業を展開する間柄にある。今回、日野がVWトラック&バスと包括提携に入ったことで、いすゞの動向が注目されることになる。