この生理周期は、自分の体調を把握するうえでも重要となってくる。極端にその周期が長かったり短かったりすると、体に何らかの異変が起きている可能性も否定できない。続いて、生理周期の長短と体調の関係性について船曳医師にうかがってみた。

生理周期が長い場合

まず、いわゆる「生理が遅れている」というシチュエーションで考えられるのは妊娠だ。特に排卵後の期間が延びるのは妊娠だけだと船曳医師は話す。

「反対に排卵前の期間が延びる原因は、脳からのホルモンの指令が正しいリズムで出ていないか、卵巣がうまく反応していないかのいずれかです。通常は90分に1回という間隔で脳から放出されるホルモンのリズムが長くなると、卵巣へ届く刺激が減ってしまいます。その結果、卵子周囲の細胞の成長が遅れ、排卵も遅くなります」

また、脳からのホルモンを受容しても、卵巣がうまく反応しない(反応性不良)と、同様に排卵がずれこんでしまうという。

脳からのホルモン分泌のリズム異常は、ストレスや急激な体重減少、睡眠不足などによって引き起こされる。卵巣の反応性不良は、多のう胞性卵巣と呼ばれる体質の人や、BMIが25以上の過体重の人に起こりうるとのこと。

生理周期が短い場合

逆に生理周期が24日よりも短いようだと、「黄体機能不全」と呼ばれる病気を患っていることを疑う必要も出てくる。

短すぎる生理周期での出血は「排卵せずに出血している場合」と「排卵しているが周期が短い場合」の2パターンが考えられる。

「排卵していない場合は黄体ホルモンが出ていないため、月経血が赤っぽくて普段と違うと感じることもあるでしょう。原因は、脳からのホルモン分泌が規則的でなかった、つまり、一時的なホルモンの変調が多いです」

一方、排卵しているのに生理周期が短い場合では、排卵後の期間が短くなっていることが原因として考えられる。

「通常、排卵から生理までは2週間ですが、このようなケースでは十分な黄体ができず、通常より早くに黄体ホルモンが消失してしまいます。その結果、通常より早くに生理が始まってしまいます。この状態を『黄体機能不全』と呼びます」

黄体機能不全か否かを判断する目安は「基礎体温の高温期が10日未満」「低温と高温の平均の差が0.3度未満」などがある。黄体機能不全は不妊症にもつながりかねないため、生理周期が恒常的に一般よりも短いような場合は、婦人科を受診した方がよいだろう。