「一段落」の意味と使い方 - ひとだんらくは間違い!?

仕事がキリのいいところまで片付いて、ほっとした瞬間…… 「一段落ついた」と言いますが、あなたはこの言葉を「ひとだんらく」と読んでいますか? それとも「いちだんらく」と読んでいますか? 実はよく話し言葉で耳にする「ひとだんらく」は間違った読み方なのです。

「一段落」の意味と読み

「一段落」の意味は、「文章などの、ひとつの段落。転じて、ものごとが一区切りしてかたづくこと」。まとまった仕事をひとつ終えては「一段落ついたぞ」と安堵感を声に出している人も多いことでしょう。

この「一段落」、読みは「いちだんらく」が正式とされ、NHKなどの放送業界では「いちだんらく」が採用されています。よく聞く「ひとだんらく」という読みは、実は誤った読みなのです。

誤りでありながら、口語でよく耳にする「ひとだんらく」。この読みが広く定着した原因には、「一仕事」「一安心」「一工夫」「一苦労」「一休み」など「ひと~」と読む言葉が少なからずあること、特に「一区切り」という類義語が「ひとくぎり」と読まれるために混同されてしまったことが挙げられそうです。

現在では、「いちだんらく」と「ひとだんらく」の項目を関連付けている辞書も多く、大辞泉のように「『ひとだんらく』と読むのは誤りだが、話し言葉で使われることも多い」と補説をつけているものもあります。「ひとだんらく」の読みは、正式とはいえないものの、使用されている現状を考えると認められつつあるということなのでしょう。

慣用読みとは?

この「いちだんらく・ひとだんらく」のように、正式ではない読みが一般に広く普及し、定着した読み方のことを「慣用読み」といいます。以下は、正式読み、慣用読み、どちらの読み方も間違いではないとされている単語です。

貼付(ちょうふ・てんぷ)
早急(さっきゅう・そうきゅう)
出生率(しゅっしょうりつ・しゅっせいりつ)
寄贈(きそう・きぞう)
世論(せろん・よろん)
施行(しこう・せこう)
相殺(そうさい・そうさつ)
重複(ちょうふく・じゅうふく)

前者が正式な読み方、後者が慣用読みです。あなたはどちらの読み方で覚えていましたか? 後者の読みのほうが耳馴染みが良いと感じるものもあるのではないでしょうか。

ビジネスで慣用読みをするときの注意

慣用読みは間違いではないものの、大手を振って使うにはリスクもあります。これらはそもそもが間違った読みからスタートしていることから、書籍やメディアなどでもしばしば「間違い」として紹介され、「慣用読み=間違い」として認識している人がいるのも事実です。

そんな相手の前で慣用読みをしてしまうと、「漢字が読めない人」「日本語の知識のない人」「言葉に無自覚な人」と思われてしまうわけです。特にビジネスシーンでは、それが自己の評価につながる可能性もゼロではなく、上司や得意先・顧客などには、正しい読み方で話したほうが無難かもしれません。

注意すべき読み間違えやすい単語

そのほか、ビジネスシーンでよく使われる単語で、読み間違えやすいものをピックアップしました。こちらは慣用読みではないので、しっかり正しい読みを覚えておきましょう。

押印(○おういん ×おしいん)
出納(○すいとう ×しゅつのう)
月極(○つきぎめ ×げっきょく)
各々(○おのおの ×かくかく)
諸々(○もろもろ ×しょしょ)
汎用(○はんよう ×ぼんよう)
凡例(○はんれい ×ぼんれい)

パソコンやスマホでうまく漢字変換されない言葉があったら、読み方を間違って覚えている可能性を疑い、調べるクセを日頃からつけておくといいかもしれません。言葉も時代や使われ方とともに変化していく生き物。正誤だけにとらわれることなく、敏感かつ柔軟に言葉を使い分けていきたいものですね。