三菱重工エンジニアリングは、米国フロリダ州のタンパ国際空港(Tampa International Airport)における全自動無人運転車両システム(Automated People Mover:APM)建設工事を完成させ、現地で2月7日、スコット州知事を迎えて開業セレモニーを開催した。これにより、三菱重工グループが手掛けたAPMシステムは、米国内8路線で営業運転することとなる。

  • 今回のAPMシステムは空港ターミナルと新設のレンタカー施設を結ぶ新路線として計画された

    今回のAPMシステムは空港ターミナルと新設のレンタカー施設を結ぶ新路線として計画された

このAPM建設工事は、2014年に住友商事の協力を得て、ヒルズボロ郡空港公団(Hillsborough County Aviation Authority)から三菱重工業の米国法人である米国三菱重工業(Mitsubishi Heavy Industries America, Inc.:MHIA)を通じて受注したもの。

タンパ国際空港は、1970年代に世界で初めてターミナル間を結ぶAPMシステムを導入した空港で、今回のAPMシステムは空港ターミナルと新設のレンタカー施設を結ぶ新路線として計画された。MHIENGは、新路線の区間約2.3kmを5分で結ぶAPMシステムの設計並びにAPM車両12両の納入を行った。

また、MHIAは開業後5年間の運行・保守(Operation & Maintenance:O&M)も受注しており、今後は同社が住友商事と出資して設立したCrystal Mover Services, Inc.(本社: フロリダ州マイアミ)が、O&Mサービスに取り組んでいく。

APMシステムは電気駆動により完全自動走行する新交通システムで、ゴムタイヤ方式を採用しているため走行が滑らかかつ低騒音であるのが特徴。三菱重工グループのAPMシステムは、米国ではマイアミ、ワシントン・ダレス、アトランタの各空港で運行しており、質の高いO&Mサービスにより高い稼働率を誇っている。

  • 新路線の区間約2.3kmを5分で結ぶAPMシステムの設計並びにAPM車両12両を納入

    新路線の区間約2.3kmを5分で結ぶAPMシステムの設計並びにAPM車両12両を納入

また、今回のタンパ国際空港に先立ち、同じフロリダ州内のオーランド国際空港(Orlando International Airport)においても3路線で営業を開始している。そのほか、シンガポール、韓国、ドバイなど、世界各地並びに日本国内で豊富な実績がある。

MHIENGは引き続き、これまでの納入や稼働実績に裏付けられたAPMシステムに加え、エンジニアリング力やプロジェクトマネジメント力を強みとして、新規路線建設だけでなく既存路線の拡張、輸送力増強、更新工事にも取り組み、APMシステム普及にさらなる力を注いでいくとしている。