東京五輪開催の決定を受け、突如として浮上したカジノ法案。本格的に導入・運営されれば、更なるインバウンド効果が見込まれる一方で、ギャンブル依存症や治安悪化を懸念する声も多いという。そこで今回は、海外のカジノ事情を探るべく、在日外国人20名に意見を聞いた。

  • カジノを作ることに賛成? 反対?

    カジノを作ることに賛成? 反対? 在日外国人に聞いてみた

Q.現在、日本にカジノを作ろうという動きがありますが、あなたの国にはカジノはありますか?

ある  14名
ない  6名

Q.自国にカジノを作ること(あるいはカジノが存在すること)はいいことだと思いますか? その理由を教えてください。


■カジノ反対派

  • 「大きな町にはカジノがあります。犯罪が増えそうなので良くないと思います」(インド・30代前半・男性)
  • 「エジプトにカジノはあります。ただし、エジプトはイスラム教の国ですから、カジノはイスラム教の教えにすごく反するため、カジノに行く人はとても評判の悪い人たちばかりのため、大抵の人は嫌います。また、お金の無駄使いだと思います」(エジプト・30代前半・女性)
  • 「カジノは好きではありません。フィリピンではマージャンをする人もいるが、基本的にカトリックの影響で賭け事は"罪"と認識する人が多いです。カジノは社会に必要ないと思います」(フィリピン・30代後半・女性)
  • 「シリアにはカジノがないですし、宗教的な理由で作ることはないと思います。作ること自体は問題ないと思いますが、国にとって経済的な効果もあれば、個人にとって人生破壊する場合も少なくはないと思います」(シリア・30代後半・男性)
  • 「カジノはありません。いいことだとは思いません。ギャンブル依存症の人が増えるので」(タイ・40代前半・男性)
  • 「母国にあります。あまり賛成できないです。そういうのも依存症になりやすいと、研究が証明していますので、もっと作るのがいいとは思わないです。日本にはパチンコもあって、もちろんカジノとはターゲットオーディエンスが違いますが、健康と人間関係によくないものを導入してどうするつもり? と思います。でも経済的にいいウェーブが来るかもしれません。それは否定できません」(イタリア・20代前半・女性)
  • 「母国にあります。良くない事です。でも、日本のパチンコやスロットも同じだと思います。良くないです」(オーストラリア・30代後半・女性)
  • 「あります。思いません。人々が無駄なお金を使うからです」(ペルー・40代前半・女性)
  • 「ない。作るといいと思わない。お金を無駄に使える人が増える」(ポーランド・30代前半・男性)
  • 「母国にはカジノはあります。私はギャンブルに反対しますから、よくないと思います」(ドイツ・30代前半・男性)
  • 「ないと思います。いいことだと思いません。なんとなく」(中国・20代前半・女性)
  • 「母国にはありません。カジノはギャンブルで良いことに繋がりません」(スペイン・40代前半・女性)
  • 「ブダペストには数か所ありますが、ほとんど観光客が利用しているかな。もっと作るのはよいことじゃないと思います」(ハンガリー・30代後半・女性)

■カジノ賛成派

  • 「マレーシアにもカジノがある。経済の活性化に良い」(マレーシア・40代前半・男性)
  • 「あります。経済的なことを考えるといいことだと思います」(パラグアイ・50代・女性)
  • 「ありません。規模によります。観光向けのカジノがいいと思います。観光産業は香港の強みだと思います」(香港・20代後半・男性)
  • 「ロシアにカジノがある。いいことだと思う。カジノは趣味だと思うからその趣味がある人はその趣味ができるから」(ロシア・20代前半・男性)

■その他

  • 「スペインにはカジノがあるんですが、特に多いと思いません。駄目な場所だと思わないが、その代わりに文化センターや病院が作られたらいいでしょう」(スペイン・30 代前半・男性)
  • 「母国では、観光地にしかカジノが存在しないです。なぜなら、すべての国民はギャンブル行為を禁じられているからです」(カンボジア・20代前半・男性)
  • 「カジノはありますよ。お金は政府が集めるので経済にはいいと思います。が、依存症の問題もあります…難しいところですね」(アメリカ・30代前半・女性)

総評

アンケートの結果、多くの国でカジノが導入されているものの、その存在に対しては圧倒的に反対意見が多いことがわかった。

反対理由には、日本人が懸念しているのと同様に、「ギャンブル依存症」や「治安の悪化」が多く挙がったが、エジプトやフィリピン、シリアでは「宗教的にNG」という回答も。イスラム教やカトリックでは「賭け事は罪」とされるようだ。

一方、賛成派の理由としては「経済効果」が一番。借金大国である日本にとっても、カジノがもたらす経済効果は、のどから手が出るほど欲しいものと言えるだろう。筆者自身も、国の借金を800万円も背負わされていることを考えると、カジノの導入も致し方ないと思ってしまうのが正直なところだ。

しかしながら、日本の治安の良さが脅かされたり、ギャンブル依存の患者が増えることは、誰も望んではいない。治安が悪化すれば、いずれは外国人観光客の減少に繋がる可能性も。カジノ導入が、本当に日本経済を救うことになるのか。焦ることなく、慎重に議論を重ねてほしいと思う。