ボクシングのWBA世界ミドル級タイトル戦が22日、東京・両国国技館で行われ、挑戦者でロンドン五輪金メダリストの村田諒太(帝拳)が、王者アッサン・エンダム(フランス)に7回終了TKO勝ち。5月に不可解な判定で敗れた相手にリベンジを果たし、世界王者に輝いた。

世界王者に輝いた村田諒太

第1ラウンドから互いに打ち合いの展開になり、村田はボディを効果的に放ちエンダムにプレッシャー。4回に村田の右パンチが当たり出し、エンダムがよろめく場面が。その後さらに激しく攻めていき、7回終了後にTKOで村田が勝利した。日本人がミドル級王者を獲得するのは、95年の竹原慎二以来、2人目。日本の五輪メダリストがプロ転向後、世界王座を獲得するのは初めて。

相手陣営がギブアップを宣言すると、村田はリング上で号泣し、拳を突き上げて喜びを爆発。「この試合のTシャツを買ってくれた人もいると思いますが、"Make This Ours"、皆さんで作った勝利です。ありがとうございます!」と感謝し、泣いている姿を初めて見たと言われると、「泣いてません」と強がり、会場から笑いが起こった。

あらためてファンへの思いを聞かれると、「デビューした年の12月に両国で全然良くない試合をして、こんなやつチャンピオンになれないだろうと見捨てると思ったら、こうやってまた見に来てくれて感謝しています」と伝えた。

さらに、相手のエンダムについて、「友人です。初めてできた友人だと彼も言ってくれて、僕もそう思っています」と"友人"と表現。「ボクシングで試合に勝つ人間は、相手を踏みにじり、その上に立つ。だから勝った人間には責任がある。彼の分の責任もともなってこれから戦っていきたい」と誓った。

そして、「オリンピックで金メダルを獲ったときも、そのあとが大変でした。このベルトも獲ってからが大変だと思います。今は4団体あり、僕より強いミドル級チャンピオンもいます。頑張りたい」と決意を新たにし、「"Make This Ours"、これからもみなさんで作っていきたいと思いますので、よろしくお願いします」と呼びかけた。

5月の王座決定戦では、村田が4回にダウンを奪うなど試合を優位に進めるも1-2で判定負け。その判定が物議を醸し、誤審を認めたWBA会長の指令により、異例のリベンジマッチとなった。