『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』舞台あいさつより

――共に力を尽くされた高橋悠也さんとの仕事を振り返った感想をお聞かせください。

柔軟に対応してくれる方だという印象で今回もオファーさせていただいた部分が大きいですね。そもそも、ゲームと医療をかけ合わせている時点でヘンテコな企画ということは理解しているので。そういった要素をうまく汲んでいただいて、キャラクターもそれぞれ魅力的なところだけを毎度毎度くまなく無駄なく汲んでいただいて、一年間かけてそれぞれのキャラを魅力的にそろえていただいたという意味では本当にすごいなと。

あとはホンを書くのが速いので本当に助かりました。僕らはあげていただいたものに対してああしろこうしろというだけなんですけどね。それこそ、多人数ライダーで、新アイテムやパワーアップが予定としてある中で、その時期に合わせてちりばめることに加え、こちらが意図する展開もすべて汲んでいただいていました。

――今回『エグゼイド』に関しては、予定していたアイテムの登場に加えて、作品の盛り上がりによって生まれたものもありましたよね。

最後のほうはそうですね。クロノス関連のものやバグヴァイザーとか。

――そういった意味ではビジネス面でも成功したといえるのではないでしょうか。そこは企画当初から計算されていましたか?

番組はもちろん、商品もヒットさせようといいますか、劇中で登場するアイテムも魅力的に見せようと意識してやっていた部分は大きいですね。

――その印象があったので、『ビルド』は逆にすごく"絞った"という印象がありました。『エグゼイド』とは違う勝負の仕方をするのかなと感じたのですが。

それはそうかもしれないですね。『エグゼイド』はゲームという部分とか、多人数ライダーとか、アイテムの出しどころを先に決めて、ストーリーの盛り上がりのタイミングをそこに合わせていく作り方でした。そこは最初からアイテムを魅力的に見せるというか、ゲームで子どもたちにも楽しく見えることをかなり意識しています。

最終的にそれが仮面ライダークロノスとか仮面ライダーポッピーとかバグヴァイザーもそうですし、レーザーの復活とか、そこに全部つながっていったことが相乗効果でいい作品になったんですけど、逆にいうと、ものが多くて僕自身もお腹いっぱいになったところがある。もちろん、番組がヒットして商品も売れてくれれば万々歳なんですけど、「そうか、売れればもっとださなきゃいけなくなるんだ……」ということに気が付いて、「う~ん、それもどうなんだ」ということを振り返ったのが『ビルド』ということかもしれない。だからまったく相反する考え方のもとに生まれているのかもしれないですね。

――2年連続で仮面ライダーのチーフプロデューサーを担当するというのは最近では珍しいかと思うのですが、いつごろ担当になるお話があったのですか。

『ビルド』をやれと言われたのは『エグゼイド』の1話のオールラッシュ、完成の一か月前くらいの話ですね。1話が完成する前に呼び出されて、やれって言われて。

――白倉伸一郎プロデューサーからお話があったとうかがったのですが、具体的にはどのような感じのお話があったのですか。

理由としては、2年連続でやることで今までできなかったことができるというか、いまやっていることの反省を生かして2年目ができるという理由でしたけど、僕としてはもう『エグゼイド』で全部出しきっていたので、呆然となりました(笑)。

それまでゲームと医療で本当にうまくいくのかというのが僕的にも確信がなかったので、1話のオールラッシュを見たときに「ああ、ようやく成立した」とホッとしていたところに「来年も」と言われたので……。

――その時は脚本・構想としては『エグゼイド』は何話くらいまで進んでいたのですか?

たぶん、9・10話くらいだと思いますね。

――その「いまやっていることの反省を生かして2年目ができる」というところで、『エグゼイド』から『ビルド』に生かそうと思ったものはありますか?

ぶっちゃけると、連続でやることで反省を生かすことって実はできないんですよ。企画のスタートが早すぎて(笑)。『エグゼイド』を反省する前に『ビルド』はほとんど進んじゃっている。『エグゼイド』の放送が始まる時に『ビルド』の企画が始まるという感じですね。

自分なりにやれてよかったと思うのは、橋渡しの部分ですね。いい盛り上がりで『エグゼイド』を終えられて、そのバトンを『ビルド』が雰囲気的に継ぐことができた。理由としては、まったく違う作品であるということがありますよね。

『エグゼイド』って、やっぱり見かけがああですが(笑)、それでも一年間支持してもらえたところが大きい。あのビジュアルのお陰で成功できた部分も大いにあると思っています。一方で、「見かけがああだから……」って離れた人たちは多少いると。今回はその人たちに対して、「今度はちゃんと仮面ライダーですよ」とプラスアルファできている。まあいわゆる「仮面ライダー」だと思って安心して一年間見てねということに加えて、ちゃんと大人の方も子どもと一緒に楽しめますということが『ビルド』ではできているという気がしています。『エグゼイド』はやっぱり少し変化球だと思うんですけど、でも必要な変化球だったとは思っているので。本当に"二か年計画"だったのかなと今になってみると思いますね。