「『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』ファンミーティング"後夜祭レベル99"」より

――従来のシリーズよりも一か月短い、8月に終わることでテレビシリーズの当初の構想が変わったことなどはありましたか。

作品としては、8月最後の日曜日で完全に完結させる想定で動いていました。もし8月で終わらなくて伸びた場合は、「その時に考えよう」と話していましたね(笑)。あそこまでは計画通りです。むしろ映画のためというところになってくるのですが、テレビシリーズでは仮面ライダーの関係性をめぐる話自体は7月いっぱいでほとんど完結しているんですよ。もうみんな仲間になるみたいな。なので8月の放送話を見ていただくとわかるのですが、1年間関係を重ねてきた2人ずつにフィーチャーした話が描かれています。

――今回の「エンディング」と、ある意味でクリア後の「トゥルー・エンディング」。さらには劇中でも「コンティニュー」や「リセット」といったゲーム的な要素が作品の構造にも組み込まれていて、そこは見ていてなるほどと思わずうなってしまったのですが、そういうところは特に意識されていたのですか。

やはり「仮面ライダー」とゲームが両方とも、もともとは"戦う"ことがテーマですよね。そのテーマとしての互換性という意味で非常に相性がいいなということは感じていました。

ゲームってすごく便利なのは、なんでもOKなんですよね。実はなんでもOKな世界観なので、"ゲームっぽい"言葉だとか"ゲームっぽい"表現をすると、たちまち成立してしまう。それに「仮面ライダー」という文脈でいくと、"ゲームっぽい"要素を入れることで「今までやったことのない表現だよね」と受け取ってもらえるから、非常に便利でありがたかったというのはありますね。

我々の世代といいますか、割と世代を限定してしまう文化だと思うんですけど、それでもゲームの世代も2世代・3世代と広がってきているので、その広がりを利用させてもらっているだけだと思いますね。これは後付けになってしまうんですけど。

――すべて大森さんと高橋さんの手のひらの上で踊らされているものだと思っていました。

そうですよね。最終回を"エンディング"っていうだけで、ちょっと違って見えるっていうね。

――ひとつの物語(テレビシリーズ)をタテに追いながら、枝葉の部分をスピンオフとしてネット配信や幼児誌の特典映像、Blu-ray特典で描いていく手法が目立った『エグゼイド』。以前のシリーズと比べて大変だったこと、逆にやりやすかったところはありましたか。

作品数が多かったことは確かなのですが、もともとゲームをやるということで、コラボというか、ゲームと何か一緒にやりたいなと思っていました。そういったところで、早めにパックマンとか今回の映画でいうとPSVRと一緒にやれたというのが非常に面白かったですね。あとは仮面ライダーが本当にたくさんいたので、そこは大変だったと思います。

――そういった意味でも、ストーリー序盤から多数のライダーが登場してしのぎを削る複数キャラクター作品の『エグゼイド』ですが、当初の予想に反する方向へふくらんでいったキャラはありましたか? 檀黎斗などは一年前とはずいぶん印象が変わりました。

そうですね。檀黎斗は人気にする自信はあったんです。だってカッコイイじゃないですか。1年前の黒いエグゼイドと呼ばれていた時期のゲンムってすごくミステリアスで、エグゼイドと形は一緒だけど、色が黒くて強い……それだけですごくカッコイイ。それを途中で退場させて、あんなに強くて残忍だったゲンムが今度はエグゼイド側に付く、となると非常に燃える展開ですよね。「あんなにてこずったゲンムが仲間になるんだ……」というところで、これはいけるだろうと思っていたんですけど、もう本当にあらぬ方向にというか……。

あの岩永(徹也)くんの芝居によってあっちの方向にいったのは予測不可能な部分ではあったので、あれはあれで本当にいい化学反応だと今では思います。認めざるをえない(笑)。本当は正統派のカッコイイ再登場のつもりだったのがネタっぽくなるという。でもネタだけどいい! ギャグだけど喜ばれるというのが、あれは岩永くん本人の力ですよね。

でも想定外だったのは九条貴利矢の人気ですね。まさか12話でもともと退場する予定だったのがあそこまで人気になるとは思っていなかったですから。それは本当に演じた小野塚(勇人)くんの力とか、脚本の高橋さんのキャラクター造形の賜物というか。

今回の『エグゼイド』では、"退場する"と決まっているキャラクターはドラマがはねるんだなというのを本当に痛感しました。構造的にも最期の時点が決まっているところに向けて話をどんどん盛り上げざるをえないですから。そういうところはとても勉強になりましたね。

「ここまでの話でこの人は退場する」って決めているから、そこに向かって盛り上がるんですけど、逆にいうと飛彩とか大我は、まあ永夢もそうですけど、どんどん継続していかなければならないキャラクターなので、彼らのお話にうねりを作るほうが難しかったですね。だからこそ、途中で退場することが決まっていた2人は盛り上がったというのがあると思います。