高価なイメージを変えられるか

新たに手に入れた武器を用いて、ファーストキッチンが仕掛けるのが「発酵熟成肉 黒毛和牛バーガー」「発酵熟成肉 黒毛和牛チーズバーガー」「発酵熟成肉 黒毛和牛ワイルド☆ロック」の3つの商品だ。ポスターには、グリルで焼かれているハンバーグの画像に「熟成、此処に極まれり」という文言が添えられる。国内ファストフード業界で初の発酵熟成肉バーガーである。

熟成肉バーガーのラインアップ。真ん中が肉で野菜などを挟む「ワイルド☆ロック」の熟成肉バージョンだ

価格は黒毛和牛バーガーが1,000円、ワイルド☆ロックが1,800円という設定。ファーストキッチンとファーストキッチン・ウェンディーズで10月26日に発売する。販売目標は4万個。今回は数量限定だが、将来の展開についてファーストキッチンの紫関修社長は前向きに検討する意向を示している。「熟成肉がおいしいことは分かっていた。高いお店でそれなりの料金を払うのではなく、手軽な価格帯の商品で楽しんでもらいたい」。ファストフード業界初の取り組みを実現させた紫関社長は語る。

ファーストキッチンの紫関修社長

潜在的な熟成肉市場をファーストキッチンが開拓

ハンバーガーとして考えると、ファーストキッチンの新商品は高いと感じるかもしれない。しかし、熟成肉の商品という切り口で見直すと、意外と身近に感じられるし、あるいは“超お得”な価格設定と考えることも可能なのではないだろうか。

そもそも熟成肉の市場は、高級ステーキ店などを利用するのが一部の消費者に限られていたこともあって、規模としては限定的なものだったと考えられる。これまでの熟成肉市場が海面から顔を出している“氷山の一角”であって、水面下にはアクティブになっていない大きな市場が存在すると仮定した場合、全国にチェーン展開しているゆえタッチポイントが豊富なファーストキッチンが、手頃な価格で熟成肉商品を提供する取り組みには大きな可能性を感じる。同社が潜在的な熟成肉市場の開拓者になるかもしれないからだ。