ウェンディーズとのコラボレーションにより、競争が激化するハンバーガー業界で存在感を高めようと奮闘するファーストキッチン。同社が新たに手に入れた武器は「熟成肉」だ。高価なイメージの熟成肉だが、それをバーガーに取り入れたのはなぜか。そして、この新たな武器でファーストキッチンは何を仕掛けようというのか。

ファーストキッチンが熟成肉を使ったハンバーガーを商品化

「エイジングシート」登場で熟成肉製造に革命

熟成肉といえば、各店舗や料理人が試行錯誤を繰り返しながら、独自の熟成方法を開発し、顧客に提供していたもの。おいしい肉の代名詞として近年、「エイジング」や「熟成」というワードが踊る熱い“肉戦争”が繰り広げられている。

おいしさをめぐる戦いは消費者にとって嬉しいことだが、一方で熟成肉といえば「価格が高い」こともあって、庶民には敷居の高い食べ物であったことも事実である。巷のステーキ店で「熟成肉」を頼もうと思えば、1人あたり1万円近い価格が相場ではないだろうか。おいしいと知っていても、なかなか身近な食べ物と感じる価格帯では商品展開がなされていなかった食べ物が「熟成肉」だと言えるだろう。

その熟成肉を、ファストフードチェーンであるファーストキッチンが採用できたのには理由がある。肉を熟成させる新たな手法が登場したのだ。

その方法とは、日本初の発酵熟成肉製造技術「エイジングシート」を用いて、短期間で肉の熟成を進行させて腐敗を防止し、安定的に「発酵熟成肉」を供給するもの。熟成肉専門店「旬熟成」などを手掛けるフードイズムと明治大学が共同で開発した。

「エイジングシート」とは、熟成肉に必要なカビの胞子を人為的に付着させたシートのこと。これを肉に巻いて熟成肉を製造する

「エイジングシート」を用いた熟成方法においては、製造時間が大幅に縮小されるだけでなく、歩留まりも大幅に改善される。つまり、製造工程において大幅なコストダウンを図ることが可能になり、安定して短期間で「発酵熟成肉」を製造することが可能になったわけだ。

この「エイジングシート」を使用して商品展開する企業にファーストキッチンが選ばれた。