前回前々回の記事では、ウェンディーズとのコラボレーションにより、ファーストキッチン(FK)という会社がどのように変わってきたかについて述べてきた。今回は、今後の方向性についてFK社長の紫関修氏に聞いた話をもとにまとめてみたい。

商品をどうしていくか

FKの商品戦略において、すでに始まっている施策としては、「高価格帯商品への挑戦」が挙げられる。ファーストフードのハンバーガーといえば300円台が一般的で、ファーストキッチンも同様だったのだが、すでに400円台のバーガーは販売中で、今後は500円台にもトライするとのことだった。これからの商品戦略で強化していきたいものとして、紫関氏が挙げたのは「高付加価値商品」と「チキンカテゴリー」の2つだった。

商品戦略について聞いた話で印象的だったのは、店のブランドを作るのはあくまで基幹商品だという言葉だ。季節の限定商品を定期的に投入し、“売上の山”を作る戦略を採用しているバーガーチェーンもあるが、ベースの売上を作るのは基幹商品、FKであればベーコンエッグバーガーだと紫関氏は語る。もちろん新商品の投入は続けるが、基幹商品をしっかり訴求することが、最終的にはブランド価値の向上につながるという考え方だ。

基幹商品の訴求が本筋だ

捲土重来の大阪進出

コラボ店の方は、FKの既存メニューにウェンディーズのバーガーを追加することで、自然な形で価格帯の拡大に成功した「極めて珍しいケース」(以下、かっこ内は紫関氏の発言)だという。さて、コラボ店の方で気になるのは今後の出店計画だが、現在は関西への進出を検討しているそうだ。

1970年代にウェンディーズの日本進出の契機を作ったのはダイエーだ。その本拠地であった関西には当時、ウェンディーズの店舗が数多く存在していた。長年のファンが存在する関西に、コラボ店として捲土重来で乗り込む計画だ。時期は2017年の夏頃、場所は大阪が候補となっているという。

店舗網の拡大にはフランチャイズも活用したいという。紫関氏によると、ハンバーガー業界のみならず、ファーストフード業界全体の話としても、これだけのブランド力と基盤を持ったチェーン店にフランチャイズとして参入できるチャンスは滅多にないそう。夢を持って外食に参入する「最後のチャンス」といっても過言ではない機会であり、フランチャイズで出店してみたいという声も届き始めているそうだ。