厚生労働省はこのほど、平成28年「国民健康・栄養調査」の結果を公表した。

「糖尿病が強く疑われる者」、「糖尿病の可能性を否定できない者」の割合の年次推移

同調査は健康増進法に基づき、国民の身体の状況や栄養素摂取量、生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的としている。平成28年調査は、平成24年以降2回目となる拡大調査を実施し、基本項目に加え、重点項目として糖尿病有病者などの推計人数および体格や生活習慣に関する差を把握した。

同調査の対象は、平成22年国勢調査区のうち、後置番号が「1」から層化無作為抽出した1道府県あたり10地区(人口規模が大きい東京都のみ15地区)の計475地区のうち、平成28年4月の熊本地震、8月の台風10号、10月の鳥取県中部地震の影響により13地区を除いたすべての世帯及び世帯員。平成28年11月1日現在で1歳以上の者とした。

「糖尿病に関する状況」では「糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)」と「糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)」の割合が明らかになった。「糖尿病が強く疑われる者」は12.1%となっており、男女別にみると男性16.3%、女性9.3%で、この10年間においては男女とも有意な増減はみられなかった。

年齢階級別にみると、年齢が高い層で「糖尿病が強く疑われる者」の割合が高くなることがわかった。男性では30~39歳では1.3%であるが、50~59歳になると12.6%、70歳以上になると23.2%と増えている。女性も30~39歳では0.7%だが、50~59歳は6.1%、70歳以上は16.8%だった。

「糖尿病が強く疑われる者」の割合(20歳以上、性・年齢階級別、全国補正値)

「糖尿病の可能性を否定できない者」は12.1%で、男女別にみると男性12.2%、女性12.1%だった。

統計人数をみると、「糖尿病が強く疑われる者」は約1,000万人(推計)で、平成9年以降増加している。また、「糖尿病の可能性を否定できない者」も約1,000万人と推計され、平成9年以降増加していたが、平成19年以降は減少している。

糖尿病の治療に関する状況をみると、「糖尿病が強く疑われる者」のうち、現在治療を受けている者の割合は76.6%だった。男女別では男性が78.7%、女性が74.1%で、男女とも有意に増加している。性・年齢階級別にみると、40歳代男性では治療を受けている割合が他の年代よりも低いことがわかった。

そのほか、身体に関する状況として、「肥満者・やせの者の割合」「血圧の平均値、最高血圧」「血清総コレステロール値の平均値」も公表した。肥満者(BMI値25以上)の割合は男性31.3%、女性20.6%で、この10年間では男女とも有意な増減はみられなかった。

一方、やせの者(BMI値20以下)の割合は男性4.4%、女性で11.6%で、この10年間でみると、女性では有意に増加している。20歳代女性のやせの者の割合は20.7%であることも明らかになった。

収縮期(最高)血圧の平均値は男性134.3mmHg、女性127.3mmHgだった。収縮期(最高)血圧が140mmHg以上の者の割合は男性34.6%、女性で24.8%で、いずれもこの10年間でみると、男女とも有意に減少していた。

収縮期(最高)血圧の平均値の年次推移(20歳以上)(平成18~28年)

血清総コレステロール値の平均値は男性196.3mg/dL、女性207.6mg/dL だった。血清総コレステロール値が240mg/dL 以上の者の割合は、男性9.8%、女性で17.3%となっている。いずれもこの10年間でみると、男女とも有意な増減はみられなかった。

血清総コレステロールの平均値の年次推移(20歳以上)(平成18~28年)

画像はすべて平成28年「国民健康・栄養調査」より