入札経緯・応募内容のさらなる吟味・検証を期待

入札金額は公表されていないが、各社とも自社の入札額と評点から相手の入札額が逆算できる。諸情報から三菱地所グループの入札額は、一次審査の10億円から大きくアップされた50億円と推定される。なお、オリックスグループは一次審査が45億円超、二次審査が47億円と見られる。

いくら一次審査結果は持ち越さないとは言え、これほど二次審査で大幅に積むのでは一次審査の持つ意味が何だったのかとなるだろう。また、一次審査でオリックスグループの入札額が高かったことがなぜか業界に風評として出回った後に、各社十分な再検討期間があったことから、今後の一次審査の結果公表の仕方や情報管理の徹底という点で教訓を残したと言える。

高松空港には現在、国内LCCではジェットスター・ジャパンだけが就航している

また、旅客数目標では5年後の増加分の半分以上を国内線(特にLCC)に依存する計画だが、高松空港を拠点化できるのはジェットスター・ジャパン(GK)しかない。GKが5年以内に成田、新千歳、福岡との間で1日4往復を新設する(44万人の増加分を全てLCCから生むという前提での逆算)というのは需要確保にかなりの困難を伴うのではないか。

現在、国内LCC各社は黒字基調を維持しているものの、円安、原油、GDPという外部要件が今後どうなるかによっては、経営安定レベルの黒字であるピーチ・アビエーション以外の国内LCCに過度な規模の就航期待をするのは、現時点ではかなりリスクがあると考える。

また、国際線については5年間で36万人の需要増を達成するには、大型機の国際線需要を支え得る市場とは考え難いゆえに、アジア長距離路線の誘致は機材と需要の関係から非常に厳しいと思われる。A320で週3便かつ利用率85%で逆算した場合、新規にLCC7路線規模を誘致する必要があるが、果たして中国本土を含めても高松に7路線を誘致できるかは非常に不透明である。

いずれにしても東京、大阪という大市場との連携なくして実現可能性は薄いだろうが、そのような広域観光を回す絵柄については示されていないのではないか。現実にどことどのような接触・交渉が行われているかも含め、具体的なエアライン誘致をめぐる議論が二次プレゼンの中でどのように行われたのか、筆者としてはとても興味があり、より詳細なやり取りの公開を期待したい。

また、設備投資についても、空港機能維持に関する部分ではコスト節減策を評価する一方で、空港活性化策については単一項目としても比較的大きな配点がなされている。ここでの投資額の決断の差が、結果的に全体評価の差を生んだことになる。

需要予測や投資効果については、各応募者やコンサルが膨大なデータと分析ソフトを駆使した結果を人力で評価する等、審査側の大変さはあるだろうが、ある意味、コンピュータの中はブラックボックスであり、この大小で勝負が決まるのでいいのかどうか。計算の前提となる各国・国内県別GDP成長率、為替の振れ幅、国内各空港間の競争分析などについては第三者の検証能力も活用するなどして、徹底的な吟味と情報公開が行われることも期待したい。

では実際、今後どのようなことが求められるのか。今まで行われてきた各空港民営化プロセスを振り返りながら考えてみたい。